町田そのこさん著書の「わたしの知る花」を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
この他の町田そのこさんの作品は、「52ヘルツのクジラたち」「コンビニ兄弟」「ぎょらん」などがあります。
「わたしの知る花」を読んで、とても心が動かされ、考えさせられました。
とても素敵なお話です。

愛する人へ、きちんと思いを伝えよう!
「わたしの知る花」感想・レビュー

「わたしの知る花」の感想・レビューは、
- 悲しいけど優しい物語
- おじいさん・おばあさんの名言が光る
- 後半で、大どんでん返しがある
- 大切な人に想いをきちんと伝えるべき
- 人は、様々な事情があり、誰かを思いやっている
では、1つずつ説明していきますね。
悲しいけど優しい物語
「わたしの知る花」は、平(へい)さんというおじいさんが亡くなり、亡くなる直前に知り合った女子高生安珠(あんじゅ)が、平さんの過去に触れていく物語です。
亡くなった人の過去を追い続ける悲しい物語ですが、平さんの知り合いを訪ねていく中で、彼の人生や人柄がわかっていきます。
決して明るい過去ではないのですが、平さんはどんな気持ちだったのか、どんな人だったのか、次々といろんな事実が判明します。
その事実は、平さんの思いや優しさがいっぱい伝わってくるエピソードばかり。
不器用な人だったのですが、実はとても優しい人でした。
「わたしの知る花は、悲しいけど優しい物語」です。

平さんの過去を調べていくうちに、いろんなことがわかっていきます。
平さんの知り合いは、当然お年寄りが多いのですが、この人たちの安珠へのアドバイスが名言ぞろいです。
おじいさん・おばあさんの名言が光る
平さんの知り合いは、おじいさん・おばあさんが多いです。
安珠が、平さんの知り合いと会話を重ねていくうちに、自分の悩みや迷いを打ち明ける場面が登場します。
その悩みに答えるおじいさん・おばあさんの名言が光ります。
「え、町田そのこさんって、いくつ?」と調べたくなってしまいます。
とにかく、自分の心に刻み込んでおきたい名言ぞろいなのです。

平さんの知り合いのおじいさん・おばあさんの名言が光ります。
平さんの過去と、お年寄りたちの名言が、「わたしの知る花」の醍醐味です。
後半で、大どんでん返しがある
「亡くなった人の過去を追う話」と聞くと、淡々とした変化が少ない話に思えますが、この物語は、そうではありません。
後半で「ええ、そうだったのかあ!」と驚く事実がわかります。
いくつかの点だったストーリーが、1本の太い線のストーリーになっていきます。

後半では、平さんの驚きの事実がわかります。
この1本の太い線は、「大切な人に想いをきちんと伝えるべき」だと教えてくれます。
大切な人に想いをきちんと伝えるべき
大切な人とは、どんな人でしょう。
恋人や家族、あるいは友達でしょうか。
大切な人に想いを伝えるのは、とても大事なことです。
そうは言っても、お互いの事情が許さない場合もありますね。
事情が許さないなら仕方がないのですが、相手の気持ちや事情を踏まえ、想いを伝えてもよい状況であれば、伝えた方がお互いに幸せな方向へ向かえます。
相手を思いやりすぎて、慎重になりすぎ、気持ちを伝えられないのは、とても悲しいことです。
「わたしの知る花」は、大切な人に想いをきちんと伝えようと教えてくれます。

伝えてよい状況なら、お互いの想いを伝えることが大切です。
そして、この物語の登場人物は、全員が様々な事情を抱えていて、誰かを思いやって生きています。
人は、様々な事情があり、誰かを思いやっている
「わたしの知る花」の登場人物は、それぞれが事情を抱えています。
そして、誰かを思いやっています。
わかり会える人もいれば、わかり会えないままの人もいるのです。
自分と重ね合わせると、同じことが言える気がします。
私達は、誰かと関わって生活をしています。
家族はもちろん、友人・クラスメイト・会社の同僚、サークルやコミュニティー仲間、なじみのお店の店員さんや常連のお客さんもいます。
関わっている人たちのことを、世間の評価や、一部分だけで判断してしまいがちですが、その背景に、実は様々な事情を抱えているかもしれません。
希望していた学校や会社に入れた事情もあれば、希望していた学校や会社に入れなかった事情もあります。
希望通りの結婚や出産ができた人もいれば、希望通りの結婚ができなかった人もいるかもしれません。
それぞれに、様々な事情を抱えているのです。
平さんの人生にも、様々な事情がありました。
同じように、私達も様々な事情を抱えています。
「わたしの知る花」は「人を一部分だけで判断してはいけないな」と、ものすごく感じた物語です。
ついつい「あの人は◯◯だからさ・・・」と、簡単に決めつけてはいけないのですね。
過去の自分を少し反省してしまいました。

「あの人は◯◯だから」などと簡単に決めつけてはいけません。何か事情があるのかもしれないですし。
知り合いの全ての過去を知って付き合っていくのは、不可能なことでしょう。
しかし、知り合いの一部しか知らずに、全部を知っているような判断をするのは、よくありません。
大人になると、性格があわない人や、あまり関わり合いたくない人とも、関わっていかなくてはならない時もあります。
「あの人とは関わりたくない」だけではなく、「関わりたくないけど、何か事情があるのかもしれない」と、少し離れた視点で、その人を眺めてみることも必要なのですね。
自分を反省しつつ読了しました。

あまり関わりたくないあの人も、事情を抱えているかもしれません。
【町田そのこさん著書レビュー記事】
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