「52ヘルツのクジラたち」(原作本・本屋大賞)感想・レビュー

「52ヘルツのクジラたち」感想・レビューアイキャッチ

「52ヘルツのクジラたち」は町田そのこさん著書で、2021年に本屋大賞を受賞し、2024年に映画化されました。

キャストは主演に杉咲花さん、他にも志尊淳さん、宮沢氷魚さん、西野七瀬さんなどが出演しています。

原作本の感想・レビューをお伝えします。

とても辛い・悲しい物語ですが、結末まで読み進むと、筆者が何を伝えたいのかがはっきりと理解できます。

文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ

あきぶどう

とてもつらい話ですが、著者の想いが強く伝わるお話です。

「52ヘルツのクジラたち」はU-NEXTで配信中

クジラの写真

映画化された「52ヘルツのクジラたち」は、現在U-NEXTで配信中です。

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U-NEXTでは、原作本を電子書籍で販売しています。

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あきぶどう

映画館で見逃しても、配信で観られます。

では、原作本の感想・レビューをお伝えしますね。

「52ヘルツのクジラたち」感想・レビュー

クジラの写真

「52ヘルツのクジラたち」の感想・レビューは、

  • 52ヘルツのクジラは多いかもしれない
  • もらった後は与える人にならなければならない
  • 元気をもらえる結末ですっきりする

では、1つずつ説明していきますね。

52ヘルツのクジラは多いかもしれない

タイトルの「52ヘルツのクジラたち」は、この物語の意味が込められています。

タイトルについては文中で語られていますが、今の日本は52ヘルツのクジラが多く存在するのではないかと考えさせられました。

ネグレクト・ヤングケアラー、トランスジェンダーなどに悩む人が多く登場します。

描写のリアルさからか「気持ち悪い」「嫌い」などの書き込みが多いのも事実。

しかし苦しんでいる人が、あなたの身近にいるかもしれないのです。

声をあげられる人ばかりではありません。

声をあげた後に両親から怒られるかもしれない、会社や学校で変な目で見られるかもしれないなど、いろいろ考えたあげく、「私が我慢すればいい」と最初からあきらめてしまう人が多いのだとか・・・。

自分の責任ではない環境のせいで、よい人生をあきらめてしまう人が現実にいるのです。

もしかしたら、私の身近に苦しんでいる人がいるのかもしれません。

泣く男の子のイラスト

日本は、52ヘルツのクジラが、たくさんいるのかもしれません。

そして、この物語は、人がしなくてはならない大切なことも教えてくれます。

もらった後は与える人にならなければならない

私達は、子供の頃にさまざまなものを与えてもらって大人になります。

大人になると、与える人にならなければなりません。

ひとというのは最初こそ貰う側やけんど、いずれは与える側にならないかん。いつまでも貰ってばかりじゃいかんのよ。

「52ヘルツのクジラたち」より

この物語で、いちばん印象に残った言葉です。

子供の頃に与えてもらったものを、大人になってからは次の世代に与えるもの、ということでしょうか。

こんな話を聞くと、自分が大人になり実の子供へ、そして実の子供が孫へ、と身内だけに思ってしまうのですが、身内でなくてもよいのです。

この物語は、主人公の貴瑚が、ある少年に与える話です。

少年は、彼女の実の子供ではありません。

身内でないのに、自分が与えてもらったものを少年に与えているのです。

過去に貴瑚が与えてもらった人も、身内ではありませんでした。

母と息子のイラスト

「52ヘルツのクジラたち」は、主人公の女性が、少年に与える物語です。

読み進めながら、「救われた人は救う人になる」というCMを思い出しました。

まさしく、救われた人が救う物語です。

元気をもらえる結末ですっきりする

「52ヘルツのクジラたち」は、とても辛い・悲しいストーリーですが、元気をもらえる明るい結末で、すっきりした気持ちで読了しました。

生きるのは辛いことばかりではない、ということでしょうか。

ホエールウォッチングのイラスト

「52ヘルツのクジラたち」は、最後は明るく終わります。

辛い境遇で生きる人が多く登場する話ですが、貴瑚の周りには、彼女を暖かく見守る人がいました。

全ての人が温かいのではなく、辛く接する人もいます。

これが、この物語のリアリティーを感じるのかもしれません。

私達の周りにも、暖かく接してくれる人もいれば、そうではない人もいます。

中には、肉親に辛く当たられてしまう人もいます。

肉親からの虐待やネグレクト、ヤングケアラーの悩みは、経験した人でないと、おそらくわかりづらいものです。

この本を読んで、少しはわかった気になっているのですが、当事者のリアルには、まだまだ追いつけていないでしょう。

同じように、トランスジェンダーの悩みも当事者でないと理解しづらいのではないでしょうか。

全てを理解するのは難しいかもしれませんが、登場人物の気持ちを想像しながら読むと、辛い境遇の人の気持ちに、少しは寄りそえるかもしれません。

結末は希望が持てるので、途中でくじけることなく読了してほしい1冊です。

あきぶどう

人生は、辛いことばかりではありません!

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【おまけ】「死にそうだけど生きてます」は、貧困家庭育ちのヒオカさんが、みごと貧困から脱出する体験記録です。

「死にそうだけど生きてます」アイキャッチ

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