「星を掬う」町田そのこ(本屋大賞・文庫)感想・レビュー

「星を掬う」感想・レビューアイキャッチ

2022年本屋大賞ノミネート作の「星を掬う」を読みました。

作者は町田そのこさんです。

この本の感想・レビューをお伝えします。

タイトルの読み方は「ほしをすくう」です。

すでに文庫本となっている小説です。

町田そのこさんは、他にも「そらごはん」「あなたはここにいなくても」「うつくしが丘の不幸の家」などの作品があります。

母と娘の葛藤を描いた物語ですが、最後に希望が持てる結末となっています。

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家族のことって、他人にはわかりづらいのかもしれません。

「星を掬う」感想・レビュー

星空の写真

 「星を掬う」の感想・レビューは、

  • 母と娘、それを取り巻く家族の難しさ
  • 立ち直っていく母と娘たちの力強さ
  • 失敗しても家族はやり直せる

では、1つずつ説明していきますね。

母と娘、それを取り巻く家族の難しさ

「星を掬う」の主人公である千鶴は、すでに離婚しているのにも関わらずに、元夫から執拗に追い回されつらい日々を過ごしていました。

元夫と結婚したきっかけは、母がいなくなった実家と折り合いが悪くなり、家を出たいためだけに結婚したことです。

千鶴は、突然家を出てしまった母親をとても恨んでいました。

無理もありません・・・。

この物語には、千鶴と母、千鶴の母とその母(祖母)、この他にもうまくいかない母と娘が登場します。

母と娘だけの問題ではなく、父親、兄弟、親族がからみあって、気持ちの行き違いが起きています。

つらいことではありますが、こういうことはよくあるのではないでしょうか。

「うちの家族は、普段からよく話をするからそんなことはないよ」と思うかもしれません。

普段からよく話をしていれば、気持ちの行き違いはないのでしょうか。

100%お互いが本音で話ができているとも限りません。

立場の弱い子供が、親の考えにあわせるしかない・・・よくあることです。

子供は親がいなくては生きていけません。

母親だけでなく、父親や兄弟、祖父母などが関わってくると、問題が複雑化してしまうことも考えられます。

家族のイラスト

家族だから何でも100%わかり合っている、と思ってしまうのは、もしかしたら間違っているのかもしれません。

もちろん100%わかり合っている家族もたくさんあるのは事実。

でも、この本の登場人物は他人事、と思ってもいけないような気がします。

こういうことはあるかもしれない、くらいの気持ちで読んでおくべきかと感じました。

しかし、この物語の母と娘は気持ちが行き違って終わりではありません。

立ち直っていく母と娘たちの力強さ

 気持ちが行き違ってしまった母と娘ですが、これで終わりではありません。

一緒に生活をしていくうちに、ぶつかり合ったり、話をする機会が増えたりして、少しずつ気持ちが歩み寄っていきます。

この時は、100%本音で向き合っているのでしょうか。

一度大きなすれ違いが起きている母娘です。

お互いの本音をぶつけ合っているでしょう。

そして、少しずつお互いを理解していくのです。

母と娘のイラスト

大きな気持ちのすれ違いが怒った母と娘が、ぶつかり合って、お互いを少しずつ理解していきます。

本音をぶつけ合うだけではなく、自分の不幸は母のせいだと思っていた千鶴が自分を反省する様子も描かれています。

心が揺れ動いているのでしょう。

思わず自分に置き換えて、自分が悪いのに、他人が悪いと思い込んでいることはないだろうか、・・・と反省をしてしまいました。

失敗しても家族はやり直せる

「星を掬う」で、著者が伝えたいことは「家族はやり直せる」ということではないかと感じました。

家族とは言え、それぞれが考えを持った1人の人間です。

期待することもあるし、期待外れとなってしまうこともあります。

家族と言っても、両親と子供だけではありません。

兄弟や祖父母、おじやおば、甥っ子や姪っ子もいます。

家族全員が思い通りの未来になることは無理かもしれません。

とは言え、家族が生きている限りは何回でもやり直せるのではないでしょうか。

期待や衝突があるかもしれませんが、お互いを思いやっていれば、やり直すことはできるはず。

家族のイラスト

著者が伝えたいことは「失敗しても家族はやり直せるよ」ではないかと思うのです。

「星を掬う」は、折り合いをつけることができず、母が家を出てしまうほどの状態になった家族の物語です。

母と娘が再会して、少しずつお互いを理解し始めます。

母が家を出る前にそれができればよかったのですが、複雑な事情がからみあい、出ていってしまったのです。

母と娘の不和以外にも、家族の問題を抱えている人が、被害者・加害者ともにたくさん登場します。

1つの家族が、1つの問題を抱えているのではなく、複合的に問題を抱えていることが多いと聞きます。

しかし、「家族はやり直せる」と、著者は伝えたいのではないかと感じましたし、私も家族はやり直せると感じました。

できれば、誰かが家を出てしまうことがないようにしたいものです。

あきぶどう

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