朝井リョウさん著書の「イン・ザ・メガチャーチ」を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
2026年本屋大賞ノミネート作品です。
タイトル「メガチャーチ」の意味は、大規模プロテスタント教会だそうです。
朝井リョウさんは、キリスト教信者なのでしょうか。
それはわかりませんが、キリスト教ではなく、推し活界隈の人たちの小説です。

推し活小説は、初めて読みました。
「イン・ザ・メガチャーチ」感想・レビュー

「イン・ザ・メガチャーチ」の感想・レビューは、
- 「ファン」と「推し活」の違いが理解できる
- 登場人物の描写が見事!リアルにいそうな人たち!
- 推し活と子育ては同じ?
- 推し活は楽しい?怖い?
- これは社会派小説!
では、1つずつ説明していきますね。
「ファン」と「推し活」の違いが理解できる
あなたは、「ファン」と「推し活」の違いを理解できていますか?
若い方は「推し活」の方が理解しやすいでしょうが、中年以上の世代は「ファン」の方が理解しやすいのではないでしょうか。
「イン・ザ・メガチャーチ」は推し活をテーマとした小説です。
登場人物の生活や心理描写がとても細かく描かれており、読み終わる頃には推し活とは何か、どういうことかがしっかり理解できているはずです。

「推し活」について、しっかりと理解できる小説です。
今や「推し活は経済効果がある」などとも言われています。
「私は、推し活をするアイドルやキャラクターなんていないし・・・」と思っていても、今を生きる私たちは、推し活とは何か、くらいは知っておいた方がよいかもしれません。
登場人物の描写が見事!リアルにいそうな人たち!
「イン・ザ・メガチャーチ」の主な登場人物は、次の3人です。
- 47歳男性
- 35歳女性
- 女子大生
この3人を軸に物語が進みます。
推し活仕掛け人・推し活継続中・推し活を始める人、と立場は違いますが、3人とも推し活界隈で生きている人たち。
それぞれの世代が背負うものや、心理描写が見事に描かれています。
47歳男性が、自身が若かった頃と現在で音楽業界がすっかり変わってしまった、と嘆く場面がたくさん登場します。
彼は、音楽業界で長い間働いてきました。
彼の嘆きは、中年世代なら「わかるわかる」と共感できる箇所がたくさんあるはず。
今や音楽の聴き方はもちろん、推している人(アイドルやアーティストなど)のあり方、ファンの立ち位置まで、自分たちが若かった頃とはすっかり違っていますからね。
ところで、朝井リョウさんって、おいくつなのでしょうね。
朝井リョウ(あさいリョウ、男性、1989年5月31日 – )は、日本の小説家・・・
Wikipedia「浅井リョウ」より一部抜粋
1989年生まれということは、この小説が発売した2025年現在36歳。
36歳の著者が、数十年前の音楽業界や、47歳男性の心の内側を文章にしていることに驚きます。

36歳の著者が、中年世代の若い頃の音楽業界や、47歳男性の心の内側を文章にしていることに驚きます。
35歳女性は、自身を取り巻く環境にモヤモヤした生活を送っています。
朝井リョウさんと同世代の女性ですが、女性の心の内側をここまで細かく描いていることに驚きます。
彼女は契約社員。
ずっと雇用に対するモヤモヤを抱いています。
このような女性も、そこら中にいっぱいいるはずです。
女子大生は、女子あるあるの友人トラブルにぶつかってしまいます。
大学生ともなると、学部内・ゼミ・サークル・バイトなど、人間関係も広がります。
これらをミックスした女子特有の人間関係を、男性の朝井リョウさんが描いています。
これも見事です。

35歳女性・女子大生の心の内側をとても細かく描いています。
そして、この本を読んで「推し活と子育てって同じこと?」と、不思議な考えが浮かびました。
推し活と子育ては同じ?
この本を読んで「推し活と子育ては同じなのだろうか?」と、不思議な考えが浮かびました。
推し活とは、次のような意味です。
好きなアイドルや俳優、アニメのキャラクターなどを応援する活動のこと。
コトバンク「推し活とは」より一部抜粋
子育ても、自分の子供を応援する活動ですよね。
子供を独り立ちできる大人にするために、親はいろいろな応援活動をします。
時には叱らないといけないでしょうが、大人になるための応援活動、と言えなくもない。
以前、推しのCDを大量に買うことが問題になりました。
これを子育てにあてはめると、どうなるでしょうか。
子供のために食事をさせるし、通学・時には塾や習い事に行かせます。
どれもお金を使いますね。
推し活と言えなくもないのかも。
大人になるための応援活動です。

「推し活と子育ては同じかな?」と不思議な考えが浮かびました。
そして、推し活は豹変すると、非常に恐ろしいものになってしまいます。
推し活は楽しい?怖い?
神がいないこの国で人を操るには、“物語”を使うのが一番いいんですよ。
「イン・ザ・メガチャーチ」より
「推し活」を自分の生きがいにすることは、悪いことではありません。
ライブやイベントで推しの活躍を観て、私も頑張ろうと思えることは素敵なことです。
デビューするまで、もしくはデビューしたからのサクセスストーリーを自分と重ね合わせて、私も頑張ろうと思えることも素晴らしいですよね。
これは、推し活を通した自分活動です。
しかし、推し活仕掛け人に操れられてしまうのは、とても危険です。
- 推しの言葉で自分の考えを変えてしまう
- 推し活資金に全財産を使い込む
- 推し活こそ我が人生
こうなってしまうと、推しの物語(人生)に自分が巻き込まれています。
しかも推している人そのものではなく、仕掛け人が操っているのですから、さらに恐ろしい。
「イン・ザ・メガチャーチ」は、このような人も登場します。

推しのストーリーで自分の人生まで操られてしまうのは、あまりにも恐ろしいです。
「メガチャーチ」とは、どんな意味があるのでしょう。
メガチャーチ(英語: Megachurch)とは、平均週末の信徒数が2,000人以上のプロテスタントのキリスト教会である。
Wikipedia「メガチャーチ」より一部抜粋
つまり「イン・ザ・メガチャーチ」とは「巨大なキリスト教会の中」です。
推し活が宗教みたいになっている、との表れのタイトルでしょうか。
これは怖いな、と思わずにはいられません。
これは社会派小説!
「イン・ザ・メガチャーチ」は、社会派小説だと感じました。
推し活界隈の人たちの小説ですが、それだけではありません。
- 家族のあり方
- 家族がいないことによる孤独
- 労働環境への不満
- 人とのつながり
- 推し活が宗教化
など、社会問題化しているこれらの事柄にも、グサグサと遠慮なく切り込んできます。
まさに今どきの社会派小説なのでは、と感じました。

一見、社会とは無縁の推し活を通して描く社会派小説です!
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