瀬尾まいこさんのエッセイ「そんなときは書店にどうぞ」を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
瀬尾まいこさんと言えば、本屋大賞を受賞した「そしてバトンは渡された」「夜明けのすべて」が映画化、「優しい音楽」がドラマ化など、映像化された作品が数多くあります。
あまり読書をしない方でも名前は聞いたことがある、という方は多いかもしれません。
そんな瀬尾さんが出かけた書店や映画の試写会などで起こった出来事を書いたエッセイが、「そんなときは書店にどうぞ」です。
分厚くなく、難しい文章もありません。
さらっと読むことができました。
- 瀬尾まいこさんは、この本の印税の受取を全額辞退されていらっしゃるそうです。「各地で閉店が進む街の書店を助ける」ためだとか。今度も電子書籍は発売されないかもしれません。

著者の熱い思いが詰まった1冊です!
「そんなときは書店にどうぞ」感想・レビュー

「そんなときは書店にどうぞ」の感想・レビューは、
- 時々関西弁の文章に、話を聞いている気分になる
- 作家と書店員の距離の近さに驚き
- 書店の減少は大きな社会問題
では、1つずつ説明していきますね。
時々関西弁の文章に、話を聞いている気分になる
著者の瀬尾まいこさんは、奈良にお住まいだそうです。
そのせいか、文章が時々関西弁です。
本を読んでいるというよりも、話を聞いている気分になりました。
関西弁になじみがないと、少し読みづらいかもしれません。
しかし、ほとんどは標準語で書かれているので、理解に苦しむことはないはずです。
おそらく瀬尾さんの心の中を、そのまま言葉にしていらっしゃるのでしょう。
リアルな気持ちを描いたエッセイということです!

関西弁の瀬尾まいこさんの心の中を描いたエッセイです。
この本を読んでいちばん驚いたのは、作家と書店員のつながりが、とても濃いことです。
作家と書店員の距離の近さに驚き
「そんなときは書店にどうぞ」を読んで、いちばん驚いたのは、作家と書店員の距離の近さです。
作家が原稿を書いてから、本を発売するまでの流れは、
- 作家が出版社に原稿を提出する
- 出版社が①を本にする
- 書店が②を仕入れて売る
という流れ作業だと勝手に想像していました。
作家は、出版社へ原稿を提出しておしまい。
出版社は、原稿を本にしておしまい。
書店は出来上がった本を仕入れて売るだけ、みたいな感じを想像していました。
しかし実際は、そうではありません。
- 作家が出版社に原稿を提出する
- 出版社は①をチェックし、作家に確認して①を仕上げる
- 出版社が②を本にする
- 書店が③を仕入れて売る
- 作家と出版社の職員が書店に行って④のPR活動をする(ことがある)
という流れだそうです。
「作家と出版社の職員が書店に行って本のPR活動をする」ことに驚きました。
書店と言っても、大都市の大型書店だけではありません。
作家や出版社の職員が、日本全国の書店に足を運び、書店員とコンタクトを取るのです。
書店では、お客様向けに著者のサイン会を行ったり、書店員と作家が接するイベントを行ったりします。
もちろん全国全ての書店ではありませんが、東京や大阪のような大都市だけでもなさそうです。
作家自らが、このような活動をしていることを初めて知りました。
「本屋大賞」など、書店員が小説に投票する機会があることが影響しているのでしょうか。
くわしくは、下をご覧ください。

作家自らが出版社の職員と全国の書店へ足を運び、書店員とコンタクトを取る活動をされています。
最初に瀬尾まいこさんが、この本の印税の受取を辞退したことをお伝えしましたが、日本全国で相次ぐ書店の閉店が社会問題となっています。
書店の減少は大きな社会問題
書店の閉店が日本全国で相次いでいることが、大きな社会問題となっています。
全国の書店や出版社などの業界団体が設立した「日本出版インフラセンター」によりますと2025年3月時点の書店数は1万918店で、10年前と比べて、4600店あまり減りました。・・・販売の主力だった雑誌や漫画を中心に電子書籍化が進んだことや、ネット通販の拡大などで客足が遠のき、経営体力の乏しいいわゆる「街の本屋」を中心に経営状況が悪化したことが背景にあると見られています。
「「NHK首都圏ナビ」より一部抜粋
雑誌や漫画は電子書籍で読む方も増えていますし、通販で本を買う方も増えています。(私もそうですが・・・。)
そもそも読書をする方が減っています。
昔は書店に行くと、入口付近に雑誌売場があり、あふれんばかりの人たちが立ち読みをしていました。
今は書店に行っても、そのような光景を見ることはありません。
この状態を重く見た国が支援をする事態となっています。
全国で減少する街の書店について、経済産業省が大臣直属の「書店振興プロジェクトチーム」を設置し、初の本格的支援に乗り出す。書店は本や雑誌を売ることを通し、地域文化を振興する重要拠点と位置づける。読書イベントやカフェギャラリーの運営など、個性ある取り組みを後押しする方策を検討する。
「読売オンライン」より一部抜粋
作家でもあり、書店へ出かける機会の多い瀬尾さんが、このような事態に危機感を感じていらっしゃるようです。
この危機感から、印税の受け取りを辞退されたのでしょう。

書店の閉店ラッシュは、大きな社会問題です!
私も電子書籍派ですが、リアル書店は情報収集にかかせない場所だと感じています。
実際に本を手に取って確かめる機会は、とても大切だと思っているからです。
くわしくは、下をご欄ください。
忙しい現代人は、読書の時間がありません。
しかし、読書はメリットが多いものです。
長時間は難しいかもしれませんが、少しの時間でも確保したいもの。
「そんなときは書店にどうぞ」は、本を読む最初の1冊にも向いている本です。
分厚くなくて、可愛らしい表紙のイラストも可愛らしく、本を読む機会が少ない方も読みやすい1冊です。

少しでも、本を読む時間を作りたいですね!
【おまけ】
〈老舗書店「有隣堂」が作る企業YouTubeの世界〉は、神奈川県の老舗書店有隣堂社員たちのリアルストーリーです。
「あのとき売った本、売れた本」は、紀伊國屋書店の元書店員が書いた書店エッセイです。
Kindle・Koboなどの電子書籍なし(2025年4月現在)