瀬尾まいこさん著書の「そして、バトンは渡された」を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
2019年本屋大賞受賞作品で、2021年に映画化されました。
映画キャストは石原さとみさん、田中圭さん、永野芽郁さん、市川正親さんなど。
本屋大賞・映画化と、メディアに取り上げられた機会が多いので、タイトルを聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そして、文庫本の解説は女優の上白石萌音さんです。

いい人しか出てきません。
「そして、バトンは渡された」感想・レビュー

「そして、バトンは渡された」の感想・レビューは、
- 嫌な人・悪い人がひとりもいない
- 森宮さん・梨花さんの愛情は狂気レベル!
- 葛藤しつつも冷静な優子に将来性を感じる
- 実の親に育ててもらうのは絶対に幸せなのか?
では、1つずつ説明していきますね。
嫌な人・悪い人がひとりもいない
「そして、バトンは渡された」の登場人物は、嫌な人・悪い人がひとりもいません。
登場人物は、主人公をはじめ、家族や大家さん、友人など。
主人公の優子は、大人になるまでに3人の父親と2人の母親に育てられます。
なんだか気がおかしくなりそうな状況ですが、優子は、嫌な人・悪い人がひとりもいない環境で、実の親でない人に育てられる環境に葛藤しつつも、立派に成長していきます。

嫌な人・悪い人がひとりも出てこない小説です。
そして優子への愛情を特に注ぐのが、森宮さんと梨花さんです。
森宮さん・梨花さんの愛情は狂気レベル!
主人公の優子にとって、森宮さんは3人目の父親、梨花さんは2番目の母親になります。
どちらも血がつながった親ではありません。
血のつながった親でないのに、優子のことをいちばんに考え、何をすれば優子が幸せなのか、を常に考えて生きています。
ちょっと違うかも・・・なことも時にはありますが、優子に愛情がしっかりと伝わっています。
だからこそ、優子は幸せを感じることができるのでしょう。
もはや、この愛情は狂気レベルと言ってもよいかもしれません。

そうは言っても優子は、のほほんとのんびり育ったわけでもありません。
葛藤しつつも冷静な優子に将来性を感じる
主人公の優子は、実の親に育てられた期間がとても短いのです。
実の両親のやむを得ない事情で、実の母親ではない梨花さんに引き取られました。
大人たちが、勝手にそうしたのではありません。
まだ小学生だった優子が選んだ道なのです。
決断力がありますね。
実の親よりも梨花さんを選んでしまった優子。
梨花さんは、優子のことを最優先に考え、優子のために生きていくのです。

小学生の優子は、実の母親ではない梨花さんに引き取ってもらう決断をします。
このような環境で育ったせいか、優子は冷静な性格です。
友人とのトラブルで、一時は友人がいない状態になってしまうのですが、あまり気にせずに対処します。
学生時代の女子にとって、友人が誰もいないのは危機的状況なのですが・・・これも立派です。
葛藤しつつも冷静な優子に、明るい将来性を感じます。
「そして、バトンは渡された」を読んで、いちばんに感じたことは、「実の親に育ててもらうのは絶対に幸せなのか?」とういうことです。
実の親に育ててもらうのは絶対に幸せなのか?
ほとんどの人は、実の親に育ててもらいますね。
実の親に育てられることが、子どもにとって絶対に幸せなのでしょうか。
実の親に育ててもらって、幸せだと感じることがいちばんよいのは明らかです。
しかし残念ながら、親の事情で幸せを感じづらい環境に置かれてしまう子もいます。
簡単な問題ではありませんが、実の親でなくても、愛情を持ってくれる大人に育ててもらうのが、子どもにとっては最も幸せなのではないかと感じずにはいられません。

実の親でなくても、愛情を持ってくれる大人に育ててもらうのが、子どもにとっては最も幸せなのではないでしょうか。
「実の親でない人が、子どもを育てるのは簡単ではない」のはもちろんですが、「実の子も人の子も、みんなの子」と共有できる社会が、人にとって優しい社会ではないでしょうか。

実の子も人の子も、同じように大事にできる社会になってほしい。
「そして、バトンは渡された」は配信中

「そして、バトンは渡された」は、現在Amazon PrimeやU-NEXTで配信中です。
【おまけ】同じく瀬尾まいこさん著書の「そんなときは書店にどうぞ」も載せています。
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ