津村記久子さん著書の「つまらない住宅地のすべての家」の文庫本を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
2021年にNHK夜ドラとして放送されました。
キャストは井ノ原快彦さん、京野ことみさん、青木さやかさんなどです。
この小説は、登場人物がとても多いので、相関図を見ながら読むことをおすすめします。

相関図は紙の本が見やすいです。
「つまらない住宅地のすべての家」感想・レビュー

「つまらない住宅地のすべての家」の感想・レビューは、
- 相関図を見ながら読むのがおすすめ
- 迫ってくる逃亡犯の緊張感にスリルを感じる
- 都会(?)の住宅地の人とのつながりとは?
では、1つずつ説明していきますね。
相関図を見ながら読むのがおすすめ
タイトル「つまらない住宅地のすべての家」の通り、住宅地のすべての住人が登場人物です。
住宅地以外の人も登場します。
登場人物が非常に多く、もはや主人公が誰なのかもよくわかりません。(この人かな、と想像できる人はいます。)
ですので、相関図を見ながら読むことをおすすめします。
さらに言えば、相関図に人物の出来事や事実を手書きしながら読み進めるとよいかもしれません。
相関図は、目次の後に住宅地の配置図とともに書かれています。
たびたび相関図と見比べながら読み進めるのは、電子書籍では難しいです。
できれば紙の本を買って、相関図と見比べながら読み進めることをおすすめします。
私は電子書籍で読みましたが、相関図と見比べながらは読めませんでした。

目次の後の相関図を見ながら読み進めるのがおすすめ
あまりの登場人物の多さに、途中で離脱する方もいらっしゃるようです。
住人の関係性を、しっかりと頭の中で整理しながら読み進めてください。
迫ってくる逃亡犯の緊張感にスリルを感じる
「つまらない住宅地のすべての家」のあらすじをざっくり説明すると、ひとりの女性受刑者が刑務所を脱走します。
女性受刑者は、この地域出身のため、ここに来るのではないか、と予想されてしまうのです。
緊張感ある展開かと思いきや、そこまでではありません。
その理由は「ごく普通の体格の女性であること」です。
ごく普通の女性であり、地域には彼女の生い立ちを知る人もいます。
そのせいか住宅地に緊張感はありませんが、テレビの報道を見ていると、この辺りに近づきつつあるようだ、という緊張感が少しずつではありますが、増してきます。
この少しずつの緊張感がリアルさを感じます。

地元出身の逃亡者が近づきつつある、という報道に緊張感が増してきます。
学校に通う子どもたち、地域のスーパーマーケットでパート勤務をする人たち、当番で地域を見回る人たちに、少しずつ緊張感が増す様子は、とてもリアリティーを感じます。
都会(?)の住宅地の人とのつながりとは?
「つまらない住宅地のすべての家」の住宅地は、特定の地名は書かれていません。
しかし、次のような場所が想像できます。
- 大都市近郊・もしくは地方都市近郊にある
- 繁華街まで近くはない
- 最近できた住宅地ではない
田舎というよりも、都市部の近郊にある住宅地という感じです。
このような住宅地は、日本中のどこにでもあるでしょう。
繁華街までそれほど近くはなく、少し不便だけど、地域にはスーパーマーケットがあるので生活に不便を感じません。
住人の年齢を見ていると、最近できた住宅地ではないこともわかります。
お年寄りだけの世帯、子供だけが残った世帯もあり、新しい住宅地ではないことが想像できます。

日本中のどこにでもありそうな住宅地が舞台です。
このような住宅地は、近所の人たちとそれほどなじみがない場合がほとんどではないでしょうか。
同じ年頃の子供がいる家庭どうしはつながりがあるものの、子供が学校を卒業した、あるいは子供がいない家庭はそれほどつながりがありません。
日本のどこにでもありそうな住宅地に「地域出身の女性受刑者が脱走した」という危機感を共有しながら住宅地の人が、つながりを深めていく様子がおもしろくもあり、このような出来事がないとつながりが持てないのかなあ、とも考えさせられます。
近所の人とのつながりは、ささいなことから始まります。
- 出会ったら、あいさつをする
- 見かけた時に、どんな人が住んでいるのか意識する
- 無理に仲良くしなくてもよい
必要以上に仲良くしなくてもよいでしょうが、見かけた時にはあいさつをしたり、住んでいる人を見かけたら、顔を覚えるようにしたりなどと心がけておくと、いざと言う時に役に立つかもしれません。
少しの心づかいが、思わぬ効果を発揮するかもしれませんし。
私も心がけようかなと考えました。

同じ地域の人とのつながりを大切にしていきたいです。

つまらない住宅地でも、地域の人とのつながりはきっと大切!
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【津村記久子さん著書レビュー記事】
紙の本で読むのがおすすめ