2024年本屋大賞を受賞した「成瀬は天下を取りにいく」の著者、宮島未奈さんの「婚活マストロ」を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
「婚活マエストロ」は、「成瀬は信じた道を行く」の次に発売された本です。
「成瀬は天下を取りにいく」が宮島未奈さんのデビュー作、2作目が「成瀬は信じた道をいく」、3作目が「婚活マエストロ」になるそうです。
デビュー作があれだけの大ヒットになったとは、すごいですね。
![](https://atama-muji.com/wp-content/uploads/2022/11/270f4dace1a877235c2b43b298bbff76.png)
成瀬2作品が好きな方は、絶対に楽しく読めます!
「婚活マエストロ」感想・レビュー
![婚活パーティーの写真](https://atama-muji.com/wp-content/uploads/2024/11/2.jpg)
「婚活マエストロ」の感想・レビューは、
- 主人公の危うさに共感できる
- 主人公の気持ちに共感できる
- 婚活パーティー主催者の想いが理解できる
普段の読書にはもちろん、久しぶり読書のリハビリ本としてもおすすめです。
では、1つずつ説明していますね。
主人公の危うさに共感できる
主人公は、40歳を迎えたフリーWebライターの独身男性です。
自宅で仕事をすることが多く、外出をする機会も、スーツを着て仕事をする機会も、ほとんどありません。
自宅で完結する仕事は気楽ですが、もしかしたら途切れてしまうかもしれない、という危うさも持ち合わせています。
なんなら今の俺の一番のセールスポイントは「暇」かもしれない。
「婚活マエストロ」より
などと自嘲する場面がところどころにあり、悲壮感こそありませんが、なんとなくの不安感が想像できます。
「今のままで不満はないし、そこそこ満足はしているけど、ずっとこのままで大丈夫かな?」とゆるい不安感を持っているのです。
![パソコンを見る男の人のイラスト](https://atama-muji.com/wp-content/uploads/2024/11/2551677.png)
主人公は「このままフリーWebライターでいいのだろうか」とゆるい不安感を持っています。
ゆるい将来の不安感が、ゆるい婚活へと導いたのかもしれません。
主人公の気持ちに共感できる
主人公は、執筆の取材に婚活パーティーに参加します。
そして、ほんの少しの期待を持ちつつ、その後も婚活パーティーに参加します。
婚活パーティーと聞くと、真剣そのもののように思えますが、この主人公は、ものすごく真剣ではありません。
うまくいかなくても、ものすごく落ち込み続けるのではなく、「ああ、ダメだったな」くらいの、ゆるい気持ちで落ち込んでしまいます。
「婚活パーティーに参加して、よい話し相手ができればよいな」くらいの気持ちで参加している姿に共感できます。
主人公は、時には婚活パーティーにスタッフとして参加します。
ある参加者に気持ちが入ってしまい、ずっと気にかけ続けてしまうのです。
昔なら「あいのり」、最近ならAmazonプライムの「バチェラー・ジャパン」を観ているような気分なのでしょうか。
ある参加者をずっと気にしてしまう主人公に共感できます。
![司会者の男の人と女の人のイラスト](https://atama-muji.com/wp-content/uploads/2024/11/25204464.png)
婚活パーティーに参加してがっかりしたり、スタッフとして気持ちが入ってしまったり、主人公の気持ちが忙しくなっていきます。
在宅Webライターが、いつの間にか婚活パーティーに参加したり、スタッフになったり、忙しくなっていく様子がリアルでとてもおもしろいです。
婚活パーティー主催者の想いが理解できる
主人公はフリーWebライターですが、「婚活マエストロ」と言われている婚活パーティーを主催する会社の女性も、重要登場人物です。(本来「マエストロ」は男性のこと。女性は「マエストラ」と言うらしい)
婚活パーティーを主催するスタッフの想いが理解できます。
- パーティーを悪用する人がいないように
- できるだけたくさんの人が、その後の関係にステップアップできるように
- おとなしい人に、そっと声がけをして後押し
など、あくまでもスタッフとして、婚活に力を注ぐマエストロの想いが理解できます。
婚活をしている人の物語を見かけることはありますが、主催者側の物語は少ないのではないでしょうか。
この小説は、数少ない「婚活主催者側の物語」でもあります。
![スーツ姿の女の人のイラスト](https://atama-muji.com/wp-content/uploads/2024/11/179461.png)
婚活マエストロは、婚活のプロ。1人でも多く、その後の関係にステップアップできるように、常に気を配ります。
「婚活マエストロ」は、ものすごく真剣な婚活を伝える物語ではありません。
今のままでよいのだろうか、と少し不安になった人たちが、たくさん登場する物語です。
婚活をしていない方でも、共感ポイントがたくさんあります。
今のままでよいのだろうか、と少し不安になって、何かに挑戦する機会は誰にでもあるでしょう。
それが「婚活」だった人が登場人物です。
「成瀬は天下を取りにいく」の舞台は滋賀県大津市。
「婚活マエストロ」の舞台は静岡県浜松市です。
少しだけ大津市が登場します。
成瀬シリーズ同様、とてもおもしろい小説で、あっという間に読み終わりました。
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少し先が不安になったら、ゆるく何かに挑戦できる人になりたいです。
【おまけ】
2024年本屋大賞受賞作「成瀬は天下を取りにいく」はこちら
「傲慢と善良」も、作風は違いますがテーマは婚活です。
「ブックレコメンド」にレビューを載せていただきました。
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ