2024年の本屋大賞受賞作「成瀬は天下を取りにいく」と「成瀬は信じた道をいく」を読みました。
この2冊は「成瀬シリーズ」としてAmazonで販売されています。
ちょっとしたブームですね。
ドラマ化や映画化されてもおもしろそうです。
成瀬シリーズの感想・レビューをお伝えします。
「成瀬は天下を取りにいく」から読んで下さい!
もくじ
「成瀬は天下を取りにいく」「成瀬は信じた道をいく」感想・レビュー
「成瀬は天下を取りにいく」「成瀬は信じた道をいく」の感想・レビューは、
- 地元デパートが閉店する思いに共感できる
- 地元愛の強弱に共感できる
- 主人公たちと「成瀬」の距離感に共感できる
- 地域にいそうな「成瀬」の存在感が光る
共感ポイントがたくさん散りばめられています。
「地元(滋賀県大津市)」「成瀬あかり」を軸に物語が進む短編小説集です。
普段の読書にはもちろん、久しぶり読書のリハビリ本としてもおすすめ。
では、ひとつずつ説明していきますね。
「成瀬は天下を取りにいく」地元デパートの閉店に共感できる
「地元デパートの閉店」は、日本人のほとんどが体験済ではないでしょうか。
外出しても、旅行に行っても、地元駅へ戻るとそびえ立つデパート。
あれを見ると、「ああ、帰ってきたな」と実感できます。
町のシンボルのような存在です。
シンボルがなくなる悲しさは、独特の思いがあります。
地元駅前のデパートを見ると、「帰ってきたな・・・。」と実感したものです。
「最近は、ショッピングモールで買い物するから、デパートがなくても困らない」という中高年世代は多いでしょう。
しかし、デパートは思い出深い場所でもありますね。
- 子供の頃に誕生日やクリスマスプレゼントを買ってもらった
- 友達とバーゲンで服を買った
- 初めてのデートで行った
などなど。
成瀬シリーズ1作目「成瀬は天下を取りにいく」のキーワードは「西武大津店」です。
数年前に閉店した実在のデパートだそう。
地元デパートがなくなる事実を知った市民たちの、少し悲しく、少し前向きな物語が展開していきます。
この喪失感は、とても共感できました。
「成瀬は信じた道をいく」地元愛の強弱に共感できる
成瀬シリーズ2作目「成瀬は信じた道をいく」のキーワードは「びわ湖大津観光大使」です。
地元愛が強めな人、弱めな人が登場します。
- 大津市愛が強い人
- 大津市を離れたけど、時々戻る人
- たまたま大津市に住んでいるだけの人
大都会でも田舎でもない滋賀県大津市。
生まれも育ちの大津市の人、大津市から離れたけど時々戻る人、家族の転勤や家を建てたために大津市に住んでいるだけの人など、取り巻く状況は様々。
地元への思いも様々です。
大津市の特徴は、
- 琵琶湖のそばに位置した観光地
- 都会の大阪・京都までは電車で60~90分くらいで
通勤・通学が可能
様々な状況の人が住んでいることが予想できます。
様々な人たちが、琵琶湖のそばで生活をしています。
その生活を元に、物語が展開していきます。
私は、引っ越しを経験しているので、地元愛が強くありません。
友人には、生まれた時からずっと地元で生活している人がいます。
友人の地元愛は、少なくとも私よりは強いです。
同じ地元でも、その場所への愛情の強さは人によって違います。
地元への思いの強弱が、とても共感できました。
主人公たちと「成瀬」の距離感に共感できる
成瀬シリーズは短編小説集です。
「成瀬」という不思議女子と、彼女と関わりを持つ主人公たちの物語です。
この主人公と成瀬との距離感が絶妙なのです。
- 幼なじみ
- クラスメイト
- 後輩
- バイト先の客
- 家族
など。
私達も子供の頃から大人になるまでの間に、リアルに関わりを持った人たちです。
主人公と成瀬との距離感は、自分の10代の対人関係と重なります。
10代を思い出しつつ「ああ、あの頃はこんな感じだったなあ。」と思い出しながら読み進めることができます。
10代の対人関係は、今も昔も変化していないと気づかされました。
地域にいそうな「成瀬」の存在感が光る
タイトルにもなっている重要登場人物の「成瀬」。
クラスにひとり、学校にひとり、ではなく、地域にひとりいそうな存在です。
かなり変わっているのですが、どこかにいそうな不思議女子という感じ。
彼女も地元愛が強い人物です。
成瀬が強烈な存在感を持っています。あり得ないキャラクターではなく、どこかにいるかもしれないくらいの不思議な人です。
- 都会でも田舎でもない滋賀県大津市
- 観光地でありながら都会に近くて通勤圏
- 成瀬という変わった女子
- 成瀬を取り巻く普通の人たち
このバランスが絶妙で、共感ポイントがいっぱいです。
日本のどこで生活していても「ああ、わかるな・・・。」と思えます。
あっと言う間に読み終わりました。
△「audiobook.jp」でも配信中△
「audiobook.jp」については、下をご覧ください。
【おまけ】
2024年本屋大賞2位の「水車小屋のネネ」も載せています。
2024年本屋大賞翻訳小説部門第1位の「ようこ、ヒュナム洞書店へ」も載せています。
「ブックレコメンド」にレビューを載せていただきました。
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ