古内一絵さん著書の「東京ハイダウェイ」を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
「ハイダウェイ」とは、「隠れ場所」のことだそうです。
隠れるという意味の「hide」と、離れるという意味の「away」の組み合わさった言葉でしょうか。
タイトル通り「東京の隠れ場所」を書いた短編小説集です。
古内一絵さんの本を初めて読みましたが、共感ポイントがたくさんありました。
東京に、隠れ場所はたくさんありそうですね。
もくじ
「東京ハイダウェイ」感想・レビュー
「東京ハイダウェイ」の感想・レビューは、
- 短編小説なので読みやすい
- 東京・仕事・隠れ場所の三拍子で共感ポイントが多い
- 主人公の年齢・性別がバラバラ、共感できる人がいる
- 自分だけの隠れ場所があると、よいかもしれない
では、1つずつ説明していきますね。
短編小説なので読みやすい
「東京ハイダウェイ」は、6話の短編小説集です。
それぞれの主人公に繋がりがあり、1冊を通して1つの物語のようになっています。
まとまった時間が取りにくい大人でも、読みやすい1冊です。
短い小説ばかりなので、少しずつ読み進めることができます。まとまった時間がない人でも安心です。
本を読む時間がないから読書はしない、が長い間続いて、すっかりご無沙汰・・・な方のリハビリ本に最適です。
東京・仕事・隠れ場所の三拍子で共感ポイントが多い
1冊を通したテーマが「東京・仕事・隠れ場所」の三拍子です。
隠れ場所は「癒しスポット」と置きかえることもできます。
東京でなくても、都会で働いて生活している人には、共感しやすいはず!
もちろん都市部で生活していない方でも、職場の人間関係に悩んだり、日常に疲れて癒しスポットへ行くことはあるでしょう。
隠れ場所でのんびりしたり、頭をリセットして、日常に戻っていく主人公たち。
とても共感できます。
都会での仕事や生活の疲れがたまり、行き詰まった人たちが、「東京の隠れ場所」を見つけていきます。
自分だけの隠れ場所で、過去の自分と向き合ったり、のんびりしたり、未来の目標を見つけたり、少しずつ変わっていく主人公の姿があります。
共感ポイントは、これだけではありません。
主人公の年齢・性別がバラバラ、共感できる人が必ずいる
「東京ハイダウェイ」の主人公は、年齢・性別がバラバラです。
本を読む人全員が、自分と重ね合わせることができるように、配慮されているのかと感じるくらいです。
年齢は20代から50代まで、男性・女性の比率は半分ずつで、均等に割り振られています。
現在、お仕事をされている方はもちろん、そうでなくても働いた経験をお持ちであれば、「ああ、わかるなあ」と思えます。
今の社会人は、最終学歴の学校を卒業する頃の社会情勢に、大きな違いがあります。
50代後半はバブル世代、40代から50代前半はロスジェネ世代、30代は「ゆとり世代」などと言われるけれど、格差が拡大した世代、20代は人手不足と言われる一方、格差は確かに存在しています。
全く違う状態で入社しているので、世代が違う人の苦しみが、とてもわかりづらいのです。
会社は、いろんな世代の人が集まって仕事をします。
時代背景にこれだけ違いがある人が集まって、仕事をしているのです。
行き詰まりや疲れを感じるのは当然のこと。
この世代間ギャップから来る辛さが、とてもよく理解できます。
20代から50代まで、男女3人ずつが主人公。働いたことがある人全てが共感できます。
あなたに当てはまる主人公が、必ず1人はいるはずです。
自分だけの隠れ場所があると、よいかもしれない
「東京ハイダウェイ」の主人公たちは、世界有数の大都会東京で、自分だけの隠れ場所を見つけます。
過去に向き合ったり、のんびりしたり、未来の自分に目標を作ったり、隠れ場所の効果を実感できています。
彼らのように、自分だけの隠れ場所があると、気持ちが落ち着く効果があるのかもしれません。
私も、隠れ場所(もしくは癒しスポット)を見つけようかと考えました。
私は、読書が隠れ場所かもしれません。本の内容に集中できるし、いろんな考え、ノウハウを読んで、自分に活かすことができるからです。
読書が隠れ場所なら、本屋・図書館・カフェが隠れ場所になりそうです。
隠れ場所は、人によって違うでしょう。
- 自然が好きな人なら、海・山・公園
- スポーツが好きな人なら、スポーツジム・練習場
- 人と関わることが好きな人なら、コミュニティー
- ゆったりくつろくことが好きな人なら、カフェ・マッサージ店
- 芸術に触れることが好きな人なら、博物館・美術館
東京でなくても、ありそうな場所ばかりです。
自分だけの隠れ場所を見つけて、過去の自分と向き合ったり、のんびりしたり、未来の自分に目標を作るのも、よいかもしれません。
私も、自分だけの隠れ場所を見つけよう!
【おまけ】作風が違いますが、芥川賞受賞作「バリ山行」も、バリ登山を通して自分を振り返る男性の小説です。
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ