エンジェルフライト国際霊柩送還士|原作本とドラマの違い 仕事内容も

エンジェルフライト国際霊柩送還士アイキャッチ

 Amazon Prime Videoで配信中の「エンジェルフライト」の原作本を読んだ後でドラマを観ました。

両者は、似ていますが、全く同じではありません。

原作本とドラマの違いと「国際霊柩送還士」の仕事内容について説明します。

文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ

あきぶどう

原作本とドラマは似ているけど、違います!

「エンジェルフライト~国際霊柩送還士~」はAmazon Prime Videoで配信中

飛行機の写真

米倉涼子さん主演のこのドラマは、Amazon Prime Videoで配信されています。

写真やイラストはありませんが、遺体の処置方法を具体的に書かれた文章が書かれています。Amazon Prime Videoの配信ドラマでも、暴行や事故に巻き込まれた後の遺体が出てくる場面があります。このような画面や表現が苦手な方にはおすすめしません。

「エンジェルフライト~国際霊柩送還士~」原作本を読んでわかったこと

飛行機の写真

私が「エンジェルフライト~国際霊柩送還士~」の原作本を読んでわかったことは以下の3つです。

原作本を読んだ後で、ドラマを観ました。

  1. 「エンジェルフライト」原作本とAmazon Prime Videoドラマの違い
  2. 「エンジェルフライト」原作本は全て事実
  3. 「国際霊柩送還士」の仕事内容

では、1つずつ説明していきますね。

①「エンジェルフライト」原作本とAmazon Prime Videoドラマとの違い

飛行機の写真

原作本とドラマの内容に違いがあります。

国際霊柩送還を行う、1つの会社が舞台となっていることはどちらも同じです。

ノンフィクションの原作本を元に作られたフィクションのドラマが放送されています。

会社

原作本→実在する「エアハースインターナショナル株式会社」

ドラマ→「エンジェルハース社」

登場人物

原作本→社長・会長・霊柩車運転手・その他の登場人物は全て実在する

ドラマ→社長・会長・霊柩車運転手は(おそらく)原作本を元に違う名前

これ以外の登場人物は実在しない

出来事

原作本→全てノンフィクション

ドラマ→フィクション(原作本を元に作られた回があるかも)

原作本の内容は、

  • 実際に起こった事件・事故による遺体搬送の取材
  • エアハースインターナショナル社員やご遺族へのインタビュー
  • テロにより亡くなった1人のジャーナリストの日本帰国から自宅へ遺体搬送までの取材

ドラマの内容は、

  • 海外または日本国内で亡くなった人、故人の勤め先、遺族、エンジェルハース社員の身に起こったフィクション

になっています。

本を読んだり、ドラマを観たりすることで、なじみのない「国際霊柩送還士」が少しは身近に感じられるかもしれません。

あきぶどう

原作本とドラマが違う内容なので、どちらからチャレンジしても、知らない話のように読んだり観たりすることができます。

②「エンジェルフライト」原作本は全て事実

飛行機の写真

著者の佐々涼子さんが、実在する「エアハースインターナショナル株式会社」という会社を取材して書かれた100%ノンフィクションです。

過去にニュースで取り上げられた海外の紛争や災害の犠牲になったたくさんの日本人をエアハースインターナショナル社で日本のご遺族の元へ送り届けています。

マスコミがご遺族にマイクを向けている最中も、この会社の方たちは、人目に触れずに、ご遺体を送り届ける仕事だけを一心にやり遂げているのです。

あきぶどう

実際に存在している会社なんですね!

③「国際霊柩送還士」の仕事内容

飛行機の写真

「国際霊柩送還士」の仕事の箇条書き

「国際霊柩送還士」は、具体的にどのような仕事を行うのでしょうか。

  1. 海外で亡くなった日本人・または日本で亡くなった外国人に対して、現地警察の検死・遺族による本人確認
  2. 書類上の出国手続き
  3. 現地葬儀社のエンバーマーによる適切な処置
  4. 飛行機に乗せて日本・または祖国へ帰国
  5. 搬送業者が到着後に適切な遺体の処置
  6. 遺体を自宅や葬儀社へ送り届ける
「エンジェルフライト~国際霊柩送還士~」より一部抜粋

を行います。

エアハースインターナショナル社は、②③⑤⑥を行っています。

「エンバーマー」とは、遺体に適切な処置をして、できるだけ生前の姿に戻す作業をする人

作業そのものを「エンバーミング」と言います。

文中には、書かれていませんが、事務手続きにしても、相手の国によって違うでしょうし、煩雑な書類対応が求められるのだろうな、と想像できます。

ご遺体へのエンバーミングは、国によってまちまちなのだそうです。

ひどい状態で日本へ戻ってくるご遺体も珍しくありません。

技術の違いであったり、宗教による考え方の違いであったり。

それらについても、生前の写真を見ながら、きちんと元通りになった状態で、ご遺族の元へ送り届ける姿がとても印象的です。

海外相手の仕事であるので、24時間対応です。

一般的な日本国内の葬儀社でも24時間対応ですが、これとは違う事情があります。

夜中の3時に飛行機が到着することもざらにあります。

それでも到着後すぐに、ご遺体のエンバーミングをしなければなりません。

  • 海外の方たちとコミュニケーションが取れる言語力
  • 完璧なエンバーミングをするために妥協しない職人気質
  • 24時間対応できる丈夫な体力

が求められます。

がんばるお医者さんのイラスト

「国際霊柩送還士」は知力・体力・精神力が必要な、とても大変なお仕事です。

「国際霊柩送還士」とは、とても大変なお仕事なのですね。

国際霊柩送還士へ遺体を送還するための依頼方法

エアハースインターナショナル社への依頼方法は、

  1. 海外旅行傷害保険加入者・海外旅行傷害保険付きのクレジットカード加入者が保険会社を通じて依頼
  2. 保険未加入で、遺族が遺体を日本へ返したいと依頼

の2パターンがあります。

日本では想像しがたいが、悪質な業者が、棺の中に武器や麻薬を入れて運ぶこともあるだろうし、遺体と一緒にそれらの禁制品を忍ばせて密輸することも考えられる。海外に潜伏している犯罪者やテロリストが、身代わりの遺体を棺に詰めて本国へ送り出し死んだことにして逃げおおせる、などということもあるかもしれない。また、伝染病で亡くなったものではないという証明も必要だ。

「エンジェルフライト~国際霊柩送還士~」より

外国から日本へ遺体を送り返す、あるいは日本から外国へ送り届ける、という行為は簡単なことではありません。

想定しなければならない困難がたくさん待ち受けているかもしれないのです。

いずれにしても長い距離を運んでくる以上、たくさんの人間の手を経て家へ戻される。亡き人が家族のもとへ無事に戻るのは、関係者たちの、なんとかして家族と対面させてあげたいという素朴な気持ちに根ざしていることが大きい。

「エンジェルフライト~国際霊柩送還士~」より

日本国内外で関わっている人たちの、迅速で早い対応が、一刻でも早く、亡くなった人を家族のもとへ返すことにつながります。

あきぶどう

海外で亡くなるということは、日本へ戻るまでに、大変な関門がたくさんあるのですね。

忘れてもらっていい仕事

理惠はかつてこう言っていた。

「私の顔を見ると悲しかった時のことを思い出しちゃうじゃん。だから忘れてもらったほうがいいんだよ。」

「エンジェルフライト~国際霊柩送還士~」より

(理惠さんとは、社長の木村理惠さん)理惠さんは、自分たちのことを覚えていてほしい、などと考えていません。

突然の不幸によって命を落とした人たちと家族に寄り添い、生前の姿に戻してご遺体をご遺族の元へ送り届けることができればそれでいい、と考えているのです。

誰も彼らに気を留める者はいない。なぜなら死を扱う仕事だからだ。

「エンジェルフライト~国際霊柩送還士~」より

2012年8月に、内戦中のシリアで取材中の日本人ジャーナリストが銃撃された事件がありました。

この事件がテレビで連日報道されていた記憶があります。この日本人ジャーナリストの搬送を行ったのも、エアハースインターナショナル社でした。

実家にまで報道陣が詰めかけ、ご遺体が運ばれた後で、同じくジャーナリストであったお父様が毅然とインタビューに答えていました。

この最中も、霊柩送還士であるエアハースインターナショナル社の社員たちは、黙々とご遺体を届ける仕事を続けていらっしゃったそうです。

女の子の天使のイラスト

「忘れてもらっていい仕事」と考えていらっしゃる姿は印象的です。「次もぜひうちの会社を使って」と思ってもらうために仕事をすることが多いですから。でも次があってはいけない仕事です。

普通の営業会社のように、次があってはいけない仕事ですね。

まとめ

飛行機の写真
「エンジェルフライト~国際霊柩送還士~」を読んでわかったこと
  1. 「エンジェルフライト」原作本とAmazon Prime Videoドラマの違い
  2. 「エンジェルフライト」原作本は全て事実
  3. 「国際霊柩送還士」の仕事内容

自分の国でない場所で命を落とした人が、どうやって日本へ戻ってくるのか?

海外で大きな事件や事故の後、犠牲になった方の棺が飛行機から降ろされる映像を見かけます。

外務省のお仕事なのだな、と想像していましたが、専門の会社があるのですね。知りませんでした。

原作本を読んだ後でドラマを観ました。米倉涼子さんというと、どうしても失敗しない女医さんのイメージが強い印象があります。

社長さんを演じているこのドラマでも、エンバーミングの場面で処置台に向かっている姿はどうしても、女医さんの姿がかぶります・・・。

本を先に読んでも、ドラマを先に観ても充分楽しめます。

あきぶどう

命とは・・・と考えることにもつながる本とドラマです。

【おまけ】ドラマ好きは、こちらもどうぞ。朝ドラ「虎に翼」関連です。

虎に翼本アイキャッチ

にほんブログ村 にほんブログ村へ