青山美智子さんの「赤と青とエスキース」を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。ブラウン系のテーブルに、赤と青の色使いが印象的な表紙で、思わずジャケ買いをしてしまいそうです。
2022年に本屋大賞第2位となった作品で、文庫化されました。
若手画家が描いた1枚の絵から始まる30年間の軌跡の物語です。
青山美智子さんは、他にも「月の立つ林で」や、「神様当番」「鎌倉うずまき案内所」などの作品で知られています。
いい人しか出てこないお話です。
「赤と青とエスキース」感想・レビュー
「赤と青とエスキース」の感想・レビューは、
- 1枚の絵画には、たくさんの人が関わっている
- 1枚の絵画から広がる軌跡の30年間
- 最後は、あっと驚く結末
では、1つずつ説明していきますね。
1枚の絵画には、たくさんの人が関わっている
オーストラリア人の「画家の卵」が、日本人留学生をモデルに1枚の絵を描く場面から始まります。
完成した絵が、どうなっていくかが描かれた物語です。
たった1枚の絵画に、とてもたくさんの人が関わっているのです。
絵を描く人はもちろん、絵に取り付ける額縁を造る職人・絵を買いつける人・買い付けた絵を画廊などで展示して売る人・・・。
額縁を造る職人がいることは、お恥ずかしながら、この作品で初めて知りました。
もちろん大量生産の額縁もありますが、オーダーメイドの額縁もあるそうです。
絵画を見る時は、額縁も一緒に見ることになりますね。
絵の邪魔をせずに、魅力を伝える額縁のオーダーメイドがあっても不思議ではありません。
もちろん絵を買い付ける人や展示する人もいます。
絵を買って見せる人がいないと、私達が素晴らしい絵を見る機会はありません。
1枚の絵が世に知れわたるまでに、たくさんの人が関わっています。
絵画の世界をよく知らない私には勉強になりました。
1枚の絵画を世に広めるためには、たくさんの人が関わっていることが理解できました。
美術関係のお仕事をしている方や、絵画に興味がある方は、ストーリー全体が、とても理解しやすいのはないでしょうか。
1枚の絵画から広がる軌跡の30年間
「赤と青とエスキース」は、20歳の「画家の卵」が描いた絵から始まる、30年間の軌跡の物語です。
年数は書かれていませんが、読み進めると30年間だと理解できます。
画家の卵がどんな人生を送ったか、絵のモデルとなった日本人留学生・日本人留学生を連れてきた人物がどんな人生を送ったかが描かれています。
最初は20歳だったので、最後は50歳ですね。
20歳から50歳は、人生のメイン期間と言ってもよいでしょう。
人生のメイン期間と言ってもよい、登場人物の20歳から50歳が描かれています。
30年という長い期間の小説なのに、悪役が一切出てこないのも素敵。
「嫌な人もいるし、嫌な出来事もあったけど、それなりにがんばったお話」とは少し違います。
絵を高く売り付ける悪徳業者は一切登場しません。
悪役がいないので、ストレスなく読めます。
特に気持ちが疲れている人におすすめです。
人生の途中で数々の名言が登場し、共感できる文章も多いです。
優しい気持ちになること間違いなしの1冊となっています。
最後は、あっと驚く結末
何と言っても「赤と青とエスキース」の魅力でもあり、最大のおすすめポイントは、あっと驚く結末です。
エピローグを含む5章の短編小説集ですが、最後に1つのストーリーが出来上がります。
いわゆる「伏線」でしょうか。
最近ドラマでも多いですね。
1回目で伏線を理解してから、じっくりと考察しつつの2度読みもおすすめです。
より理解が深まることでしょう。
あっと驚く結末です。最後に1つのストーリーが出来上がります。
伏線ドラマや伏線小説は、最後まできちんとストーリーが出来上がっていないと、きっと書けませんよね。
書いたことがないのでわかりませんが、きっと書けないでしょう。
著者は、きちんと構想があって、この小説を書いたのでしょうね。
さすが!と感じました。
きちんとした構想がありつつ、青山美智子さんならではの優しい雰囲気いっぱいの素敵な小説でした。
エスキースの意味も理解できますよ!
【おまけ】青山美智子さん著書本レビュー記事
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ