新川帆立さん著書の「女の国会」を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
第38回山本周五郎賞受賞作で、政界に生きる人たちを描いたミステリー小説です。
ミステリーですが、政治の世界で女性が生きる大変さ・理不尽さも描かれています。
他にも新川帆立さんの小説は、ドラマ化された「元彼の遺言状」「競争の番人」、「ひまわり」などがあります。

国会に、女性はまだまだ少ないですね。
「女の国会」感想・レビュー

「女の国会」の感想・レビューは、
- ミステリー以外の要素あり
- 政界で生きる大変さが理解できる
- 政界で働く女性は、まだまだ大変
- アッと驚くラストあり!
では、1つずつ説明していきますね。
ミステリー以外の要素あり
「女の国会」はミステリー小説ですが、ミステリー要素だけではありません。
ある国会議員が死亡した事件を、国会議員・議員秘書・市議会議員・新聞記者と、様々な女性の立場で追っていきます。
ミステリーであると同時に、政治の世界で生きる女性の大変さ、理不尽さも描かれている物語です。
彼女たちを取り巻く男性たちとの対立、時には男性を信頼しつつ、お互いに協力し合う関係にもなっていきます。
男性が全員敵のように書かれてしまうと躊躇するのですが、決してそうではありません。
時には男性・女性関係なく協力し、情報提供もします。
しかし提供された情報は、正しい情報かフェイクかを見破る頭のよさが必要です。
とても厳しい世界ですね。
うっかりだまされてしまうと、離党、もしくは引退を余儀なくされるかもしれません。
恐ろしい・・・。
政界という特殊な業界で生きる女性たちを描いた作品。
女性はもちろん、男性も政界独特の世界観を味わいつつ読み進めることができます。

「女の国会」は、ミステリー要素はもちろん、政治の世界で生きる女性たちの大変さ・理不尽さも描かれています。
女性の苦労だけではなく、ジェンダーに苦しむ人たちの姿も描かれています。
男女格差・ジェンダー問題も描かれた興味深いミステリー小説です。
政界で生きる大変さが理解できる
政界で生き延びるのは、とても大変なのですね。
選挙で勝った議員たちは、自分が上に行けるように常に気を張っていなければなりません。
自分だけではなく、講演会・支持者・地元団体など、バックにたくさんの人がいます。
彼らの要望にも答えなくてはなりません。
バックの人たちの要望に答えつつ、国民・市民の要望に答えなくてはならないのです。
- 相手を持ち上げ、自分が引っ込む、その時を間違えてはならない
- 自分が出るときには出る、その時を間違えてはならない
- 国民・市民からの誹謗中傷を覚悟する
- 秘書から裏切られることがあるかもしれない
- 時には女性らしさを出して、男性(特に年配議員)を味方につけることも大切
など、ニュースで見るだけではわからないような、細かい出来事を理解できます。
生半可な気持ちで、できる仕事ではありません。

ニュースだけではわからない議員たちの大変さも描かれています。
きっと議員の大変さに男性・女性は関係ないのですね。
政界で働く女性は、まだまだ大変
「女の国会」の舞台は政界です。
政界は、まだまだ男性優位な業界です。
男女格差を変えていく場所は政治なのに、政界は男性優位です。
これでは世の中は変わらないだろう、と痛感させられます。
その一方で、男性優位の世界で活躍する女性たちが頼もしく、希望が持てます。
たくましく生きる彼女たちの活躍がまぶしいです。

男性優位の政界で活躍する女性たちの活躍が頼もしいです。
ミステリー小説なので、ラストが気になるところですが、アッと驚く結末を向かえます。
アッと驚くラストあり!
「女の国会」は、予想もできない結末を向かえます。
ミステリー小説好きの方は想像できるかもしれませんが、私には想像できませんでした。
モヤモヤした気持ちの結末ではなく、スカッとした気持ちになれる結末です。
もちろん男女格差・ジャンダー問題が解決したのではありません。
しかし今後、この物語に出てくるような女性が増えることで、少しでも国がよくなるように期待したいものです。

「女の国会」は、スカっとしたラストを向かえます。
身近な人を助ける。その範囲を少しずつ広げる。うんと広げる。日本中の人を助ける。それが国会議員だ。
「女の国会」より
という言葉がありました。
文中でこれを言ったのは、おじいさん議員です。
このような日本になってほしいなと、とても共感しました。

日本がよくなるのに、男性も女性も関係なし!
【おまけ】同じく新川帆立さん著書の「ひまわり」も載せています。
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ