「とわの庭」(新潮文庫・文庫本)小川糸 感想・レビュー

「とわの庭」感想・レビューアイキャッチ

小川糸さん著書の「とわの庭」を読みました。

この本の感想・レビューをお伝えします。

お母さんと2人だけの世界で生きていた主人公のとわが、自分の人生を切り開く物語です。

描写の細かさからか、実話ではないかと言う人もいるようです。

印象に残った場面や心に残る言葉がたくさんありました。

文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ

あきぶどう

とわの心と自宅の庭が、一心同体になっている物語です。

「とわの庭」感想・レビュー

庭の写真

「とわの庭」の感想・レビューは、

  • 母親ととわ、2人だけの生活が少し怖い
  • 周囲のサポートで人生を切り開くとわは力強い
  • 困っている人に手助けできる人になりたい

では、1つずつ説明していきますね。

母親ととわ、2人だけの生活が少し怖い

「とわの庭」の主人公とわは目が見えません。

目が見えないとわは、母親とたった2人だけで生きていました。

家から出ることもなく、庭の黒歌鳥たちの鳴き声や、花の匂い、どこからか聞こえるピアノの音、毎週水曜日にやって来るオットさんの気配、お母さんの声や手料理の匂いが人生の全てでした。

目が見えないので、匂いや音を頼りに生活するのは当然なのですが、お母さんとたった2人だけの生活は少し怖いなと思いながら、読み進めました。

わたしと母さんは小さな家から長く外に出かけることなく、ふたりだけで暮らしていた。わたしは、それが当たり前なのだと思っていた。

「とわの庭」より

母と娘のイラスト

とわとお母さんは、とってもなかよし。2人だけで生きていました。それは少し怖いなと思いつつ、読み進めました。

とわは、お母さんの愛情をたっぷり受けて成長していきます。

周囲のサポートで人生を切り開くとわは力強い

ある出来事がきっかけで、とわはお母さんと別々に生活をするようになります。

途中、とてもつらい経験をするのですが、周囲のサポートのおかげで、自宅で一人暮らしを始めます。

一時は荒れ放題だった庭も、再びきれいになっていきます。

表紙のイラストのように、花が咲くきれいな庭になるのです。

サポートがあったとは言え、悲観的にならずに、人生を切り開いてくとわの姿は、とても力強いなと感じました。

たくさんの人のイラスト

周囲の強力サポートのおかげで、とわは自宅で一人暮らしを始めます。お母さんと2人きりだった頃とは大違いです。

いつからか、わたしにとって、人の存在というのは花束のようなものになった。

「とわの庭」より

お母さんとたった2人だけだったのに、人の存在は花束のようだと感じるまでに変化していくのです。

この本で、いちばん心に残った言葉です。

花束のイラスト

とわは、お母さんと2人だけだった生活から、人が花束のようだと思うまでに変化します。

とわは、行政のサポートのおかげで人生を歩き出せました。

もしかしたら、私もサポートできる側になれるかもしれないと考えました。

困っている人に手助けできる人になりたい

私は、困っている人にサポートができる専門資格を持っていません。

なので、目が見えない人に専門的なサポートはできません。

しかし、

  • 体が不自由な人を見かけたら、必要に応じて手助けをする
  • 身近で困っている人に気づいたら、話を聞く

くらいはできそうな気がします。

やり過ぎは自己満足なので、あくまでも困っている人が助けを必要としているなら、です。

目の見えない人に限らず、体が不自由な人やお年寄りなど困っている人を見かけたら、手助けをすることはできます。

悩みを抱えていたり、困っている人の話を聞くことはできます。

この先、自分が困る立場になるかもしれません。

そうなった時は、一人で抱えこまずに、助けてと言える人になることも大切かもしれません。

救助のイラスト

困っている人に気づいたら助ける、自分が困ったら助けてと言うことが大切なのではないでしょうか。

「とわの庭」は、とわの気持ちと自宅の庭が一心同体の物語です。

お母さんの愛情に満たされている時は、黒歌鳥が歌を歌い、きれいな花が咲いています。

その後つらい生活をしている時は、庭も荒れ果ててしまいます。

そして一人暮らしを始めると、またきれいな庭になっていきます。

表紙のイラストのように、三つ編みを束ねたとわが、犬と一緒に黒歌鳥と花でいっぱいになった庭で過ごす生活になります。

「生きているって、すごいことなんだねぇ」

「とわの庭」より

そうなんですよ。生きているってすごいことですね。(と書くとうさんくさい・・・。)

がんばり過ぎたり、悩み過ぎたりした時は、「生きているってすごいこと」と肩の力を抜くのもよいかもしれません。

あきぶどう

毎日をちゃんと生きているだけで、すごいんですよ。きっと。

【おまけ】同じく小川糸さん著書の「食堂かたつむり」も載せています。

「食堂かたつむり」(小説)感想・レビューアイキャッチ

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