小川糸さん著書の「食堂かたつむり」を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
「食堂かたつむり」は、2010年に柴咲コウさん主演で映画化されました。
「好き」と言う方もいれば、「気持ち悪い」などと言う人もいるようです。
「人間に取って、食事とはどういうことか」と考えされました。
優しげなタイトル・柴咲コウさん主演で映画化となれば、女子らしいほんわかした小説のように思えます。
ほんわかした場面もありますが、びっくりする場面もありました。

食べ物を粗末にしてはいけない、と教えてくれる1冊です。
「食堂かたつむり」感想・レビュー

「食堂かたつむり」の感想・レビューは、
- 「食事とは命をいただくこと」だと実感させられる
- 「気持ち悪い」と感じる場面もある
- 母の深い愛情は素直に感動する
では、1つずつ説明していきますね。
「食事とは命をいただくこと」だと実感させられる
遠い昔、「食事とは命をいただくこと」と教えられたことを、この物語を読んで思い出しました。
野菜・肉・魚・・・どれも過去に生きていた命です。
スーパーマーケットで売られている食材ばかりを見ているせいか、過去に命があった存在であることを忘れてしまいます。
人間は、命を食べて生きていくのですよね。
人間は、(他の動物も)何かを食べないと生きていけません。
ストレートに「私も命をいただいて生きている人間の1人だな」と実感させられました。

「食べることは命をいただくこと」と実感させられました。
この物語は、「気持ち悪い」と感じる方がいらっしゃるようです。
サイコホラーなどとも。
私も気持ち悪いと感じなくはない・・・というのが正直な感想です。
「気持ち悪い」と感じる場面もある
「食堂かたつむり」が、「気持ち悪い」と感じる場面は、これらの場面ではないでしょうか。
- 主人公の倫子が、調理前の食材に顔を近づける
- 生きている豚を殺して解体する
主人公が調理前の食材に顔を近づけるのは不衛生な気がするし、確かに気持ち悪いと感じます。
しかし、「食事とは命をいただくこと」だと実感できる場面でもあります。
倫子は、過去に命のあった食材たちに顔を近づけて感謝をした後で、調理を始めます。
顔を近づけることが、調理前の大切な儀式なのです。
そして、完成した料理に感謝しつつ、お客様の前に運ぶのです。
食材への感謝を忘れない倫子の姿に、「なるほどなあ」と感心しました。
生きている豚を殺して解体する細かい描写は、私はきちんと文章を読めませんでした。
サーッと流して読んだことにしてしまったのです。
しかし、「命をいただくことが食事なのだ」と、文中で最も実感できる場面でもあります。

「気持ち悪い」場面もありますが、この場面こそが、「命をいただくことが食事なのだ」と実感できるのでしょう。
「気持ち悪いなあ」と感じたら、そこは飛ばして読み進めてもよいのではないでしょうか。
私はそうしました・・・。
物語のあらすじを理解して、何かを感じ取れば、読書した意味があるのですから。
気持ち悪い場面ばかりではありません。
食堂かたつむりで、心のこもった倫子の料理を食べた後は、願い事が叶った、元気な気持ちになったお客様もたくさん登場します。
ほとんどは、このような穏やかな場面です。

心のこもった倫子の料理で、願い事が叶った、元気な気持ちになれたお客様が、たくさん登場します。
倫子は、小さい頃から母親が好きではありませんでした。
ところが、とても深い母の愛情を知ることになります。
母の深い愛情は素直に感動する
倫子は、母ひとり子ひとりの家庭で育つのですが、小さい頃から母親が好きではありませんでした。
しかし、ある出来事がきっかけで深い母の愛を知ることになります。
母の愛情は永遠に不滅なのですね。
素直に感動してしまいました。

子供への母の愛情は永遠に不滅です。
「食堂かたつむり」は、「食事とは命をいただくこと」と「母の深い愛情」を知ることができる小説です。
怖い場面もありますが、苦手な方はサラッと飛ばして読んでも、物語の内容は理解できます。
食材に感謝する気持ち、身近な人から受けた愛情・・・小さい頃に学んだこと、感じたことを思い出しつつ読める1冊です。

昔教えられたことって、忘れますね・・・。
【おまけ】同じく小川糸さん著書の「とわの庭」も載せています。
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ