ドラマになった「ファーストペンギン!」を最終回まで観た後で、原作本を読みました。
実話のドラマということでしたが、どのくらい原作に近いドラマに仕上がっていたのか説明します。

ドラマにもなった原作本です。奈緒さんと船団長の堤さんの会話がテンポよくて、スッキリできるドラマでした。
ドラマ「ファーストペンギン!」の原作本を読んでわかったこと

昨年ドラマになったお話の原作本です。
この本を読んでわかったことは、次の3つです。
ドラマを最終回まで観終わった後で、原作本を読みました。
- 「ファーストペンギン!」原作本とドラマとの違い
- 「ファーストペンギン!」ドラマは100%事実の原作本とほぼ同じ内容
- 日本の漁業は存続の危機にある
では、1つずつ説明していきますね。
①「ファーストペンギン!」原作本とドラマとの違い

原作本とドラマの違いはほとんどありません。
ドラマには、原作本に登場しない人物が登場しています。
会社
原作本→実在していた「萩大島船団丸」(現在は「株式会社GHIBLI」)
ドラマ→「さんし船団丸」
登場人物
原作本→著者の坪内千佳さん・坪内さんの息子・船団長・その他の漁師たちは全て実在(特に名前は文中では語られず)
ドラマ→主人公・主人公の息子・船団長は違う名前・その他の人物は(おそらく)実在しない
出来事
原作本→全てノンフィクション
ドラマ→ほぼ全てフィクション
原作本では登場しない人物がドラマで登場します。
漁業組合の組合長、船団長の息子や、さんし船団丸に所属している漁師たちなど、原作本の出てこない人物のエピソードがドラマでは描かれています。
主人公が船団丸に入った経緯や営業活動については、原作本にかかれているエピソードとほぼ同じです。
②「ファーストペンギン!」ドラマは100%事実の原作本とほぼ同じ内容である

「ファーストペンギン!」原作本は、著者である坪内千佳さんの体験記です。
- 結婚を気に山口県萩市に移住
- 離婚をして、シングルマザーとなり、得意分野の英語の翻訳を仕事をこなしながら、旅館の改革のアドバイザーを頼まれて仲居として働き始める
- 地元の漁師にスカウトされ、「萩大島船団丸」を立ちあげる
- 「萩大島船団丸」を法人化し、「株式会社GHIBLI」へ
全てが坪内さんの実体験であり、脚色は(おそらく)全くありません。
坪内さんについては、全く知りませんでした。
「シングルマザーが社長になり、漁師さんと切磋琢磨しながら、会社を立て直す話」という認識でドラマを観ました。
間違いではないのですが、実際はドラマで描かれていたよりもはるかに苦労されていたようです。
ドラマと同じように突然「社長になってくれ」と頼まれた
「このまま漁で魚を獲るだけじゃ、食っていけなくなるのは目に見えとる。あんた、モノを考えるのが得意というとったろ。わしらがどうすればいいか、考えてくれんか。
「ファーストペンギン シングルマザーと漁師たちが挑んだ船団丸の奇跡」より
この物語の作者であり、主人公でもある坪内さんは(本では「私」となっています)ドラマと同じように、漁師さんに突然「社長になってくれ」と宴会中に懇願されてしまいます。
冗談ではないかと断ってしまいそうですが、悩んだ末、月収3万円で坪内さんはひきうけてしまいます。
まだ24歳。普通なら大学を卒業して間もない頃の年齢です。
これを引き受けるくらいの度胸がないと、できない仕事なのでしょうね・・・。
社長になった坪内さんは、漁師が獲った新鮮な魚を漁師さんがすぐに手入れをして梱包し、お客様へ発送するサービスを作り出します。

突然社長に任命されて、後戻りできないプレッシャーを想像することができません・・・
大阪で飛び込み営業を繰り返す
まずは、ネットのグルメサイトで魚へのこだわりをウリにしている店を検索する。店が混んでいない時間帯を選んで入店し、必ず料理人と向き合えるカウンター席に座る。
「ファーストペンギン シングルマザーと漁師たちが挑んだ船団丸の奇跡」より
ドラマでは東京で営業をしていましたが、実際は大阪だったようです。
全く初めて行う事業となると、取引先もないはず。
飛び込み営業で顧客を増やすしかありません。
目をつけたお店に直接出向いてセールスをする・・・。
これの繰り返しで顧客を増やします。
料理人となると、色々こだわりがある方が多そうです。
お客として話をひととおりしてから、魚の話に持っていく方法で顧客を増やしていきます。
営業ウーマンとしての腕の見せどころですね。
「人に恵まれる」ということ
やはり私は人に恵まれている。
「ファーストペンギン シングルマザーと漁師たちが挑んだ船団丸の奇跡」より
人に恵まれる、とは相手が勝手に親切にしてくれるばかりではありません。
人柄や熱意が伝わった結果、「人に恵まれる」のではないでしょうか。
本を読んでいくと、いいことばかりが起こったわけではありません。
坪内さんの努力の結果、人に恵まれたような気がします。
日本の漁業は衰退の危機まっしぐら

日本の漁業は衰退の危機にあり、近い将来、漁業は成り立たなくなってしまいそうなのだそうです。
- 海水汚染
- 魚の免疫力低下
- 日本人の魚を食べる量が減っている
海水汚染は想像ができますが、魚の免疫力低下は知りませんでした。
漁業を守っていくために全国で漁師さんが奮闘されています。
地元の海で獲れる魚の良さを最大限に活かしながら商品を作り出すアイデアは地元でないとできません。
魚の免疫力低下は知りませんでした。
コロナウイルスに人間が怯えている中、海の魚もウイルスに苦しんでいて、海産物の大量死が起きています。
日本人の魚を食べる量が減っています。人のことは言えませんが、
- 魚料理は肉料理より手間がかかる
- 食べた後のゴミが臭う(肉と違って骨や皮が残ってしまう)
魚料理は肉料理に比べて低カロリーです。
本当はもっとたくさん食べないといけないのですよね・・・。
漁師は海のプロ
海を熟知している漁師さんは、東日本大震災の前日に海の様子がいつもと違うことを察知していたそうです。
地震予知学会の研究も大事ですが、日々現場で活動している方たちの直感を上回るものはない、と坪内さんも断言していらっしゃいます。
自身余地の研究 + 海のプロ
この2つの相乗効果で地震の研究が進むことを期待します。
まとめ

「ファーストペンギン シングルマザーと漁師たちが挑んだ船団丸の奇跡」を読んでわかったこと
- 「ファーストペンギン」原作本とドラマとの違い
- 「ファーストペンギン」ドラマは100%事実の原作本とほぼ同じ内容
- 日本の漁業は存続の危機にある
結婚をしたからとはいえ、過去に全く縁のなかった土地で、ひとつの会社を社長を引き受け、軌道に乗せて法人化までしてしまう、とは並大抵のことではありません。
本にも色々なエピソードが描かれてますが、きっと本には書ききれないほどの苦労や困難があったはずです。
たくさんの困難にぶつかったであろう坪内さんが、「人に恵まれている」と言い切ることができるのは、彼女の人柄なのでしょうね。
周囲とうまくいかない、気分的にめいってしまっている・・・こんな時に元気になれるヒントをもらえそうな一冊です。

読み終わった後に元気になれる一冊ですよ!
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ