「対岸の家事」の原作本を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
この小説は「対岸の家事~これが、私の生きる道!~」のタイトルで、2025年にドラマ化されています。
出演は、多部未華子さん・一ノ瀬ワタルさん、江口のりこさん、島袋寛子さんなど豪華キャストです。
ドラマと並行して、原作本を読むのも楽しいかもしれません。
タイトルと表紙のイラストを見ると主婦層を狙った作品のように見えますが、主婦に限らず、いろんな世代の方に読んでほしい1冊です。

いろんな世代、いろんな立場の大人に刺さる1冊です。
「対岸の家事」感想・レビュー

「対岸の火事」の感想・レビューは、
- 主婦でなくても共感できる
- 悩みがなさそうに見える人も、実は違うかもしれない
- 助け合いは、どんな人でもできる
では、1つずつ説明していきますね。
主婦でなくても共感できる
「対岸の家事」というタイトルを聞くと、主人公が主婦で、よその家の家事についてあれこれ考えるストーリーが思い浮かびますね。
表紙は、少女とお母さんらしき女性のかわいらしいイラスト。
「主婦じゃないから読んでもおもしろくなさそう」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
主人公は娘を持つ専業主婦ですが、その他の登場人物が多彩な人たちなのです。
子育て中のキャリアウーマンや育児休暇中の男性、一人暮らしの老人女性や、彼女の独身の娘・・・。
いろいろな世代の人が登場します。
なので、いろんな世代の方が楽しめる小説となっています。
既婚・未婚も関係なく、全ての大人が共感できる部分があるはず。

主婦だけでなく、さまざまな世代の人に読みやすい1冊です。
子育てが重要なテーマではありますが、親たちは、これまでの人生が決して順風満帆ではない人ばかりなのです。
大人になるまでに困難があり、ここまで来たような感じの人が多いです。
悩みがなさそうに見える人も、実は違うかもしれない
「対岸の家事」の主人公は、専業主婦の詩穂。
「今どき専業主婦って、ダンナの収入が多いごく一部の人だけだよね。」と思ってしまいそうですが、彼女なりの事情の結果、専業主婦なのです。
倹約をしつつ、がんばって生活を切り盛りしています。
詩穂の夫も、大企業に勤める人ではありません。
他にも、育休中の男性が登場します。
彼は出世街道まっしぐらのエリートですが、少年時代は決して幸せではありません。
子育て中のキャリアウーマンは、今日を過ごすのがいっぱいいっぱいです。
必ずしも人生の全てが順調ではない人ばかりが登場します。
「一見悩みがなさそう見える人も、実はそうでもないのかもしれないな」と考えました。
現代を生きる私達も、彼らの人生に共感できる部分がどこかにあるのではないでしょうか。
読み進めるにつれて、そう感じました。

登場人物は、順調な人生を歩んだ人ではなく、どうにかこうにか結婚した人ばかりです。
いろんな悩みを持つ登場人物たちが、自分にできることを見つけ出し、お互いを助けあう関係になっていきます。
そのきっかけは、専業主婦であり、いちばんたくさんのご近所情報を持っている詩穂の活躍でした。
助け合いは、どんな人でもできる
「対岸の家事」の登場人物たちは、年齢・性別・環境もさまざま。
悩みもさまざまです。
主人公の詩穂は、優しくて思いやりがある性格の持ち主。
専業主婦なので、子育てに奮闘中ではあるけど、時間に余裕はあります。
彼女の優しさや思いやりに助けられた登場人物たちが、お互いにできることで協力しあい、支え合う関係になっていきます。
決して無理な協力ではありません。
できる範囲で、です。
これが大事なこと。
無理しても長続きしません。

無理のない範囲で、協力しあう登場人物たちに希望が持てました。
これ、リアル生活でも実践できそうな気がします。
自分の得意やできることは意外とあるものです。
あくまでも例えばですが、専業主婦なら、
- 自分の子と近所の子の面倒を一緒に見る
- 共稼ぎ家庭の食事を時々作る
- 近所の公園・子供に必要な物が買えるお店の情報を伝える
得意なことがあるなら、
- パソコンが得意なら、苦手な人に教える
- 勉強が得意なら、苦手な子供に教える
- 字がうまいなら、苦手な人の代行で字を書く
定年退職した人なら、
- 近所の子供の面倒を見る
- 悩める子育て世代の相談にのる
などでしょうか。
たいしたスキルはない、と自分では思っていても、他の人に役立つことがあるかもしれません。
詩穂がいなくても、お互いに手助けできる人たちが近所にいる関係は、ありがたいものです。
「対岸の家事」は、正しくは「対岸の火事」と書きます。
「対岸の火事」の意味
他人にとっては重要な事でも、自分にとっては関係がないため、痛くも痒くもない事。
「ことわざ・慣用句の百科事典」より一部抜粋
自分に関係ないからと知らん顔するのではなく、少しでも周りの人を気にかけると、世の中が優しくなるような気がします。

できる範囲で、人助けできる関係って素敵!
【おまけ】2025年本屋大賞受賞作「カフネ」も助け合いがテーマの物語です。
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ