「この夏の星を見る」は、2025年夏に映画化されました。
キャストは、桜田ひよりさん、清水ミチコさん、岡部たかしさんなど。
あらすじは、コロナ禍で次々と学校行事やイベントが中止になってしまった高校生・中学生たちの、非常事態ならではの青春ストーリーです。
大人も大変な思いをしましたが、10代の若者たちも大変だったのな、と痛感できる小説です。
辻村深月さんは、「傲慢と善良」や、アニメ化された「かがみの孤城」など、映画になった作品が多い作家さんです。
文庫本は、上・下巻があります。
漫画もあります。

文庫本の表紙をあわせると、1つのイラストになります。
「この夏の星を見る」感想・レビュー

「この夏の星を見る」の感想・レビューは、
- コロナ禍を思い出す
- 「スターチャッチコンテスト」への情熱が熱い
- コロナ禍ならではのクラブ活動が新鮮
では、1つずつ説明していきますね。
コロナ禍を思い出す
「この夏の星を見る」の世界をべっとりと包みこんでいるのは「コロナ禍」です。
コロナ禍最中の中学・高校生や先生たち、その他彼らに身近な大人たちの物語です。
すでに数年が経ち、あの頃の出来事を忘れつつあるこの頃。
しかし、この小説を読むと、「ああ、そうそう。そうだったなあ」と思い出します。
大人も学生も子どもも、それぞれがみんな大変だったのですよね。
あの頃、私は大人でしたが、学生たちも苦労がきっとあったはず。
学生ならではの大変さ、親に育ててもらっているからこその大変さが切々と伝わってきます。
ソーシャルディスタンスが全ての基準でした。
学生生活とは、集団生活でもあります。
学生たちにとって、人と常に距離を取る生活は、大人だった私達が想像できないような苦労や不安があったでしょう。

ソーシャルディスタンスを保つって、大変でしたね。
コロナ禍を包み込む重苦しい空気と同じく強く感じたことは、文化系クラブの情熱です。
「スターチャッチコンテスト」への情熱が熱い
タイトル「この夏の星を見る」で想像できるように、舞台は天文部。
文化系クラブです。
私が学生の頃、文化系クラブは吹奏楽部を除いて地味な感じでした。
ところが、最近は文化系も活発で華やかですね。
成り行きで天文部へ入った生徒もいれば、天文部へ入るために入学する高校を決めた生徒もいます。
主人公は1人だけでありません。
たくさんの中学生、高校生たちが主人公です。
一人ひとりの日常の片隅に、過去の自分を重ねてしまう場面が、どこかにきっとあるはず。
天文部に対する熱量は、生徒によって違いますが、イベント「スターキャッチコンテスト」のために張り切る生徒たちの熱量はどれも熱いのです。
「スターキャッチコンテスト」って、素敵なネーミングですね。
コンテストのために密を避けながらの準備は、限られた時間や場所で行わければなりません。
「コロナ禍だから何もできない」「仕方がない」と、彼らは決してあきらめません。
コンテストに勝つための作戦会議や準備、リモートでの事前ミーティングなど、とにかく突き進みます。
運動部だと練習や試合ができないから、とすぐにあきらめてしまうかも。
文化系ならではの強みかもしれません。

「スターキャッチコンテスト」に挑戦する中高生がまぶしい・・・。
そして、これまでになかった様々な出来事を生み出すきっかけにもなりました。
コロナ禍ならではのクラブ活動が新鮮
コロナ禍と聞いて思い出すのは、リモートワークやリモート授業です。
インターネットを利用して、自宅にいながら仕事をする、学生は授業を受けられるようになりました。
リモートは、緊急事態宣言を機に一変に普及したような感じでしょうか。
スターキャッチコンテストを日本各地に遠く離れた学校同士で、リモートで開催します。出場校だけではありません。
あの頃でなければ、思いつかなかったイベントかもしれません。
学校同士だけではありません。
宇宙に関する仕事をしている大人たちともつながっていきます。

リモートワーク・リモート授業が普及したのは、コロナのおかげ・・・ですよね。
コロナ禍は、3年ほど続きました。
学生たちは、入学した年・卒業した年によって、中学・高校・大学生活が丸ごと奪われています。
貴重な時代を奪われてしまったのですが、何か1つでも思い出に残る出来事があれば、大人になってからの思い出になるのではないでしょうか。
体育祭や修学旅行だけが思い出ではありません。
ちょっとした友人や先生との会話が思い出になることもあります。
そんな優しい思い出をたくさん持って、大人になればよいですね。

優しい思い出を持って大人になれば、幸せですね。
【おまけ】
同じく辻村深月さんの「傲慢と善良」も載せています。
同じく映画化された「国宝」も載せています。










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