エッセイスト酒井順子さん著書の「ガラスの50代」を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
酒井順子さんは、数多くのエッセイを出版していて、「下に見る人」「子のない人生」「おばさん未満」など、数多くの作品があります。
文庫本で発売されています。
Amazonの期間限定キャンペーンで安く買えました。(すみません。)
ガラスの◯代ってタイトルにピンと来る世代におすすめです。
「ガラスの50代」感想・レビュー
「ガラスの50代」の感想・レビューは、
- 50代は「中年以上・老人未満」の世代
- 50歳前後で亡くなる著名人が多かったのに驚く
- 老人も多様化している現代
では、1つずつ説明していきますね。
50代は「中年以上・老人未満」の世代
私が子供の頃、というより20代までは「中年は40代、老人は60代以上」と認識していました。
ところが30代になった頃からか「中年は50代、老人は70代以上」と認識するようになりました。
40代と言いつつ若く見える方が増えたこと、60代でも会社で働いている人が増えたことが影響しているかもしれません。
しかし、この本を読むと、「やはり50代は中年以上・老人未満の世代だなあ」と痛感しました。
例えば、
- 見た目が若くても体の変化が現れる
- 両親のどちらかが他界している人が多い
- 孫ができた人も出てくる
などと40代とは明らかに違う変化があるからです。
もちろん人によりますが。
作者の酒井順子さんは、時代の変化を鋭い視点で書くエッセイストです。
酒井さんが10代からの時代の変化を鋭い視点でコメントしています。
いわゆる「バブル世代」の方のようです。
酒井さんと同世代の方はもちろん、この前後の世代の方にも共感ポイントが多い1冊です。
肩パッドふわふわのジャケット・ボディコン・扇子にピンと来る方は、共感ポイントが多いエッセイです。
今でこそ人生100年などと言いますが、少し前までは50歳前後で命を落とす方が多かったそうです。
50歳前後で亡くなる著名人が多かったのに驚く
今から100年ほど前は、なんと50歳前後で亡くなる著名人が多かったそうです。
夏目漱石は、満四十九歳で亡くなりました。・・・明治天皇は五十九歳で、大正天皇は四十七歳で亡くなっています。そんな時代に四十九歳で亡くなっても、「早すぎる」という感覚は、あまり無かったのではないか。
「ガラスの50代」より
学生時代、夏目漱石は49歳で亡くなったと授業で習った記憶があります。
当時の私にとって49歳は両親よりも年上であり、「昔の人はそんなもんだろう」程度にしか思っていなかったのでしょう。
ところが今改めて知らされると、その事実に驚きます。
夏目漱石は49歳で亡くなったそうです。若い・・・。
明治時代の日本人の平均寿命は(ググった結果)、男女ともに40代でした。
若くして亡くなるというよりも、乳幼児の死亡率が高かったことが原因となっているようです。
とは言え、50歳前後で亡くなる人の1日と、人生100年時代と言われる私達の1日では、1日の重さがかなり違うはず。
人生100年時代を生きる私達は、50代はもちろんのこと、それ以降の世代も多様化が進んでいるように思えてなりません。
老人も多様化している現代
50代・60代に限ったことではないかもしれませんが、人生も多様化しています。
- 既婚・未婚
- 子供あり・なし
- 会社員・フリーター・個人事業主
- 友人多め・少なめ
- 趣味多め・少なめ
など、50代になれば、人によって人生の道筋が大きく異なってきます。
この違いは、今後ますます大きくなることでしょう。
ほんの数十年前までは「子供が大きくなり、定年し、年金をもらいつつ穏やかに暮らす」が、60代以降の人生のイメージでした。
しかし、未婚の人、子供がいない人が増えました。
年金額が減り、定年後も働く人がますます増えるでしょう。
平均寿命も伸びました。
若々しく働き続ける人、収入に見合った趣味を楽しむ人が増えてくるはずです。
働き方も多様化しています。
定年後に、個人事業主として体調と相談しながら働く人も増えてくるのではないでしょうか。
そう考えると、老人になった後も、それなりに楽しく過ごしている自分を想像してしまいます。
年をとっても、毎日楽しく生きるお年寄りが増える社会になるかもしれません。
人生の過ごし方、生き方に正解がない時代です。
自分に見合った過ごし方、生き方ができるようになりました。
正解がないのは大変ですが、自分次第で人生を楽しく過ごせる時代でもあります。
50代は、人生後半をどのように生きていくかが定まってくる大切な時期なのでしょう。
「今の若い人は・・・」などと言わずに、若い人の話を聞きながら過ごしていきたいものです。
酒井順子さんの「ガラスの50代」は、著者に共感しつつ、これからの人生をどうしていくかを考えるきっかけになる1冊です。
50代は、60代以降の過ごし方が決まる時期かもしれません。
【おまけ】
同じく酒井順子さんの「消費される階級」も載せています。
「50歳から花開く人、50歳で止まる人」は、50歳から再チャレンジすることの大切さを教えてくれます。
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ