「文豪、社長になる」という本を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
ここで言う「文豪」とは、近代文学者の菊池寛(きくちかん)のことです。
正式には、「きくちひろし」と読みます。
文藝春秋創立100周年を記念してできた本です。
菊池寛の代表作は、「真珠夫人」「父帰る」「屋上の狂人」などがあります。
彼の伝記のような本でした。
菊池寛は、文藝春秋の創業者としても知られています。
文藝春秋の読み方は「ぶんげいしゅんじゅう」です。
文藝春秋とは何をしている会社か、ご存じでしょうか。
説明していきますね。
「文藝春秋」とはなんの会社?

「文藝春秋」の正式な名前は、「株式会社文藝春秋」です。
単行本はもちろん、文春新書、文春文庫、雑誌なども出版している出版社です。
雑誌は、スポーツ誌の「number」、女性誌の「crea」、他にも「文藝春秋」「週刊文春」などがあります。
どれか1つは聞いたことがありませんか?
ここまで聞くと、
- 文藝春秋って雑誌を書店で見たことがあるけど、社名なの?
- 週刊文春って、文藝春秋の雑誌なの?
と疑問が浮かびます。
両者の違いを説明していきますね。
「文藝春秋」と「週刊文春」の違いとは?

「文藝春秋」と「週刊文春」の関係は、どちらも株式会社文藝春秋が出版している雑誌です。
どんな雑誌なのでしょう。
実は期間・テーマに違いがあります。
文藝春秋 | 週刊文春 | |
出版社 | 株式会社文藝春秋 | 株式会社文藝春秋 |
創刊した年 | 1923(大正12)年 | 1959(昭和34)年 |
期間 | 月刊誌 | 週刊誌 |
テーマ | 政治・社会問題・芥川賞 | スクープ記事・芸能 |
「文藝春秋」は、政治や社会問題などの硬派な内容が多く、芥川賞の発表・受賞作品の掲載が年2回あります。
一方「週刊文春」は、スクープ記事で有名ですね。
説明するまでもないでしょう。
週刊文春発のスクープは、「文春砲」などとも言われます。

どちらも、同じ会社で作っている雑誌なんだね。

社名も雑誌も同じ「文藝春秋」でややこしい。
株式会社文藝春秋を作った人は、今から説明する小説の主人公でもある菊池寛です。
当時は「文芸春秋という会社を作るぞ!」というよりも、「文藝春秋という雑誌を作って起業をした」という感じです。
今で言うスタートアップ企業のようなものでしょうか。

「文藝春秋」も「週刊文春」も、菊池寛が創設した「株式会社文藝春秋」が出版している雑誌です。
芥川賞・直木賞を創設した小説家も菊池寛です。
芥川賞受賞作は「文藝春秋」に、直木賞受賞作は「オール讀物」に一部掲載されます。
「オール讀物」も株式会社文藝春秋の雑誌です。

芥川賞・直木賞を創設した人も菊池寛です。受賞作は、株式会社文藝春秋が出版している雑誌に掲載されます。
くわしくは、下をご欄ください。
では、「文豪、社長になる」の感想・レビューを説明していきますね。
「文豪、社長になる」感想・レビュー

「文豪、社長になる」の感想・レビューは、
- 菊池寛と芥川龍之介の関係がわかる
- 直木賞由来の人物のことがわかる
- 設立当時の会社経営に驚く
です。
近代文学史で、おなじみの名前がたくさん登場します。
「学生時代は、近代文学史が苦手だった」方も無理なく読めます。
昔のように、名前や作品名を覚える必要はありません。
「へえ、そうなのかあ・・・。」とゆったりした気持ちで読んでください。
では、1つずつ説明していきますね。
菊池寛と芥川龍之介の関係がわかる
菊池寛と芥川龍之介は、同じ時代に活躍した小説家、くらいの認識はあります。
2人は同じ時代を生きた人というだけなのか、知り合いだったのか、友達だったのか・・・。
「文豪社長になる」を読んで、菊池寛と芥川龍之介の関係が初めて理解できました。
親交がある間柄だったようです。

菊池寛と芥川龍之介の関係がわかりました。
芥川龍之介は、「芥川賞由来の人物で、純文学作家」くらいの認識はあるものの、「直木賞は?誰か由来がある人がいるのかな?」とずっと疑問でした。
これも解決できました。
直木賞由来の人物のことがわかる
「文豪社長になる」は、直木賞由来の人物についても書かれています。
- 直木賞由来の人物は誰か
- その人物は、どんな作品を書いた人か
- 直木賞は、なぜエンターテイメント小説の賞なのか
が理解できました。

直木賞由来の人物についても、たくさんのことが理解できました。
文藝春秋は発売直後から大変な売れ行きだったそうですが、管理体制は、ずさんだったようです。
設立当時の会社経営に驚く
文藝春秋は、菊池寛が若手文学者の作品を世に広めようと創刊した雑誌です。
なんと自費で創刊したそうです。
そのせいかはわかりませんが、創刊直後の会社経営は、あまりきちんとしていなかったようです。
今の株式会社と比べるのは違うかもしれませんが、大丈夫だったのかな、と少し驚きました。
あまり大丈夫でもなかったようです・・・。
文藝春秋を創刊した直後は、知り合いや作家仲間で運営していた小さな集まりでした。
知り合いばかりなので、会社経営がきちんとできていなかったのかもしれません。
菊池寛も太っ腹な人だったようです。
若手のために自費で雑誌を創刊するくらいですし。

創立した直後の文藝春秋は、知り合いや作家仲間の小さい会社でした。
きちんとしていない中でも軌道に乗った文藝春秋ですが、戦争の世の中になり、戦後もしばらくは大変でした。
それでも先人たちの苦労があってこそ、現在まで続く出版社となったのですね。
まとめ

- 菊池寛が若手文学者の作品を世に広めるために「文藝春秋」という雑誌を作り、会社にしたのが「株式会社文藝春秋」の始まり
- 「文藝春秋」と「週刊文春」は、株式会社文藝春秋が出版している雑誌
- 菊池寛と芥川龍之介の関係がわかる
- 直木賞由来の人物のことが理解できる
- 設立当時の会社経営に驚く
「文豪、社長になる」は、近代文学小説が苦手な方、または少し興味はあるけど、難しそうで読む気になれない方の入門書としてもおすすめです。
2023年3月に発売された本なので、旧仮名遣いは一切ありません。
意味がわからない文章はないはずです。
明治から昭和時代にかけては、たくさんの文学者が生まれました。
それも菊池寛のような、若手作家の雑誌を作った人がいたおかげかもしれません。

株式会社文藝春秋って、100年も続いている会社だったんですね。
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ