「国宝」は、2025年夏に映画化され、同年のベストセラーです。
映画のキャストは、吉沢亮さんと横浜流星さん、高畑充希さん、寺島しのぶさん、渡辺謙さんなど超豪華な顔ぶれ。
原作者は吉田修一さんです。
あらすじを簡単に説明すると、長崎に住んでいた少年が、大阪の歌舞伎役者に引き取られ、同じく歌舞伎役者として活躍する生涯を描いた小説です。
華やかな歌舞伎の世界、彼らと深く関わる芸能界が描かれています。
主人公の少年と幼なじみ、歌舞伎役者の息子との3人の青春小説としても読めます。
国宝の文庫本は、上・下巻があります。
漫画は、3巻まで発売中です。(2025年8月現在)

歌舞伎と芸能界の豪華絢爛な物語です。
「国宝」感想・レビュー

「国宝」の感想・レビューは、
- 3人の男性の生涯を描いた骨太小説
- 上方歌舞伎を初めて知った
- 昭和の歌舞伎界・芸能界が理解できる
では、1つずつ説明していきますね。
3人の男性の生涯を描いた骨太小説
「国宝」は、3人の男性の10代から還暦頃までを描いた小説で、まるでNHKの大河ドラマのようでした。
3人の男性とは、次の通りです。
- 喜久雄
主人公。中学卒業後に、親の友人の歌舞伎役者に引き取られる。 - 俊介
喜久雄が引き取られた歌舞伎役者の息子 - 徳次
喜久雄の幼なじみ。大阪まで喜久雄について行く。
1964(昭和39)年に開催された第1回東京オリンピック前後から描かれています。
日本が明るくて、キラキラした時代だったのでしょう。
喜久雄・俊介・徳次の3人の青春時代も明るかったはずです。
はっきりとした将来の目標があり、切磋琢磨しあう関係になっていきます。
「国宝」は、3人の男性の生涯を描いた骨太小説です。

「国宝」は、3人の男性の生涯を描いた骨太小説です。
3人だけではなく、彼らを取り巻く家族、歌舞伎と関わる人たちや芸能界関係者、友人など、たくさんの人が登場します。
上下巻の長い小説なので、読了までにそれなりの時間が必要です。
「国宝」は、歌舞伎界を描いた小説ですが、上方歌舞伎が描かれています。
上方歌舞伎を初めて知った
歌舞伎は江戸時代に江戸で始まったものだと思っていたのですが、関西(京都・大阪)では「上方歌舞伎」が主流でした。
江戸時代の主流は、江戸歌舞伎ではなく、上方歌舞伎だったそうです。
私達が歌舞伎と聞いて思い浮かべるのは「江戸歌舞伎」で、「上方歌舞伎」とは違いがあります。
上方歌舞伎は江戸歌舞伎とともに歌舞伎の両輪をなし、江戸歌舞伎が荒事と言う勇壮な芸を作り出したのに対し、和事とよばれる柔らか味のある芸を形成している。廻り舞台やセリ上げなどの舞台機構も上方で生まれるなど18世紀ころは上方歌舞伎の方が進んでいた。
Wikipedia「江戸歌舞伎と上方歌舞伎」より一部抜粋
江戸時代は上方歌舞伎の方が進んでいたそうですが、時が経ち、戦後に上方歌舞伎を率いる大物役者が次々と亡くなり、テレビ放送が始まった影響でタレントへ方向転換する役者もあり、上方歌舞伎は衰退の一歩をたどります。
テレビ放送が始まったのは、1953(昭和28)年、1964年の東京オリンピック前にテレビが一般家庭に普及したそうですから、おそらく喜久雄と俊介は、上方歌舞伎のとても厳しい時代に稽古を積んでいたのでしょう。

「国宝」を読んで、上方歌舞伎を初めて知りました。無知ですね・・・。
歌舞伎にくわしい方なら、当然知っているのでしょうが、私は「上方歌舞伎」を初めて知りました。
「国宝」を読まなければ、知ることはなかったかもしれません・・・。
昭和の歌舞伎界・芸能界が理解できる
先に説明しましたが、主人公を含め彼ら3人の青春時代は、1964年に開催された第1回東京オリンピック前後。
ここから後の数十年が書かれています。
ですので、この小説に書かれている時代は、昭和の真ん中から後半、平成の始めくらいです。
この頃の歌舞伎界、芸能界が理解できます。
私は、歌舞伎界にも芸能界にも知り合いがいないので、100%本当なのかはわかりませんが、なんとなく思い描くことはできました。
令和の今とは少し違うような気がするし、昔の話かな、と想像できます。

昭和の真ん中から終わり頃の小説です。この時代の歌舞伎界・芸能界が理解できます。
「国宝」の映画を見るべきかどうかはわかりませんが、小説だけを読んでも、十分に楽しめる作品だと感じました。
歌舞伎界と芸能界・・・一見豪華な世界ですが、裏では、たくさんの人たちの欲望や泥臭さが渦巻く世界でもあります。
私にはなじみのない世界ですが、楽しんで読むことができました。

華やかな世界を、少し理解できたような気がします。
【2025年ベストセラー本レビュー】
同じく映画化された「この夏の星を見る」も載せています。










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