ブレイディみかこさん著書の「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」を読みました。
この2冊の感想・レビューをお伝えします。
新潮文庫から文庫化されました。
この本を読んで、読書感想文を書く学生がいるそうです。
私が学生の頃に、この本があればよかったのに、と思える本でした。
2冊で1冊のような本なので、セットで読むことをおすすめします。
「多様性」という言葉がぴったりの本です。
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」感想・レビュー
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」の感想・レビューは、
- 息子の学校生活を家族で話し合うのがすごい
- イギリスでは学校の先生・親たちがすごい
- 多様性を認め合うことはできる?
では、1つずつ説明していきますね。
息子の学校生活を家族で話し合うのがすごい
この本は、ブレイディみかこさん家族の実話のようです。
エッセイというより、家族ドキュメンタリーのような感じ。
- 家族はブレィディみかこさん・アイルランド人の配偶者・息子の3人
- イギリスのブライトン在住
息子さんが、小学校高学年から中学生の数年間が描かれています。
この頃の男子は、あまり家族と話をすることがないように思えるのですが、この家族は、決してそんなことはありません。
クラスメイトや近所に、多種多様な国をルーツに持つ子供たちが、たくさんいます。
子供がそうなのですから、彼らの両親や祖父母のルーツも多種多様です。
いろんなルーツを持つ人がいるので、トラブルやいざこざが、よく起こります。
それらについて、息子さんが真摯に向き合い、両親に相談し、それに答える両親の姿があります。
自分の考えを率直に伝え、両親の話をしっかり聞き、冷静に対応する息子さん・・・これを繰り返していると、考えが確立した大人になりそうです。
「へえ、そんなことがあるのか」「その考えは、よくわかるよ」など、話し合いに参加している近所のおばさんの気持ちで読むことができました。
いろんなルーツを持つクラスメイトに囲まれて、学校生活を送る息子さんの神対応ぶりに、うーんとうなってしまいます。
最近は日本でも、日本人でない人がクラスメイト、または職場の同僚になることがあります。
しかし、まだまだ日本は日本人で成り立っている国だと実感させられます。
イギリスでは学校の先生・親たちがすごい
クラスメイトが多種多様なのですから、当然彼らの両親・祖父母も多種多様です。
経済的に豊かな家庭ばかりではありません。
決して豊かではない家庭の子供たちに、いろいろな方法で、先生や親たちが援助をします。
- 制服をリメイクして、再利用できるようにする
- ノートや鉛筆、消しゴムなどの筆記用具を無料配布する
- 生理用品を無料配布する
- 賞味期限前の食材を無料配布する
当たり前のように、これらの活動を、先生や援助できる親たちが取り組んでいます。
先生や親たちも、決して余裕があるわけではないようです。
余裕があるから、というよりも、見るに見かねて取り組んでいるというのが近いような感じです。
「うーん、すごいな。」と思わずにはいられません。
イギリスでは、制服の再利用やフードバンクが生活に根づいているような気がします。
日本でも、これらの活動がニュースで取り上げられることが多くなりました。
しかし、活動している人は少数ではないでしょうか。
自分の行動も、少し考えなければならないのかなと感じました。
「多様性」を認め合うことはできる?
1冊目の本「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の単行本が発売されたのは、2019年6月です。
執筆されたのは、この1、2年前と考えられます。
この頃、イギリスでは、とても大きな変化がありました。
イギリスの出来事 | ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー | |
2016年 | 6月 国民投票でEU離脱派勝利 | |
2017年 | この年の後半に 北アイルランド問題再浮上 | |
2019年 | 10月 EU離脱期限延長が決定 | 6月 ※1冊目単行本発売 |
2020年 | 1月 EU正式離脱 | |
2021年 | 9月 ※2冊目単行本発売 |
※1冊目「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
2冊目「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」
イギリスがEU離脱を決めた理由のひとつに、他のEU加盟国から、たくさんの人が移住し、格差が広がったことがあると言われています。
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の登場人物にも、たくさんの移民がいます。
移民もそうでない人も、EU離脱が生活に影響する可能性は十分に考えられます。
親たちに影響があるのですから、子供たちにも影響があるかもしれません。
子供たちが神経質になり、学校でトラブルが起こるのも、理解できます。
元々トラブルが多いのに、EU離脱という、とても大きな出来事が少なからず影響しているのではないでしょうか。
学校でも、授業に取り入れている場面が登場します。
本の発売時期と、イギリスがEU離脱の準備を進めた時期は重なります。
「多様性」とよく聞きますが、認めるのは、とても難しいように感じます。
生まれた国も環境も大きく違う人を100%理解するのは、おそらく不可能です。
ブレイディみかこさん家族が、とても苦労されている様子がよくわかります。
すぐに答えが出せる問題ではないのでしょうが、
- 話を聞く
- 相手の状況を想像する
ことで、少しずつ理解を深めることが大切なのではないでしょうか。
多様性を全て認めるって難しいですね・・・。
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ