川上未映子さん著書の「黄色い家」を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
上下巻で文庫化されています。
2024年本屋大賞ノミネート、第75回読売新聞文学賞(小説賞)受賞作品です。
1990年後半頃の物語。
舞台は三軒茶屋です。
「三軒茶屋に住みたい」と思われる素敵な街ですが、全体に少しダークな雰囲気の小説です。
川上未映子さんは、CMにも登場した美人すぎる作家さん。
他にも「夏物語」「乳と卵」「ヘブン」などの作品があります。

黄色が重要な小説です。
「黄色い家」川上未映子 感想・レビュー

「黄色い家」の感想・レビューは、
- いつだって青春時代は明るい
- 大人の身勝手を理解していた友人の賢さが引き立つ
- 周りとの人間関係が自分の考えを作り上げる恐ろしさ
では、1つずつ説明していきますね。
いつだって青春時代は明るい
「黄色い家」の主人公は「花」という女性です。
花は生い立ちに恵まれていません。
1990代後半の高校時代に家を飛び出し、黄美子さんという大人と、同年代の女性2人の4人で同居生活を始めます。
同居生活は、とてもキラキラして希望に満ち溢れています。
職場もあり、収入もあり、貯金もできるのです。
将来の不安なんて全くありません。
「明日は今日よりもっといい日」とワクワクした気持ちが伝わってきます。

4人の同居生活は、とても明るくてキラキラしています。
1990年代後半は、バブルが弾けた後の長い不景気に入り、なんとなく「未来は明るくないのでは・・・」と世間が不安を抱えていた頃。
なぜか、インターネットやガラケーも普及し始めます。
ノストラダムスの大予言で、世界が滅亡すると言われた1999年も目前。
あの混沌とした時代でも、彼女たちの日常はキラキラしていたのです。
青春って素晴らしい!
大人の身勝手を理解していた友人の賢さが引き立つ
花を始め、3人の少女たちは毎日を謳歌して生きていました。
ですが、周りの大人たちに都合よく使われてしまう時もありました。
花はただただ毎日を楽しみ、大人たちに従順に生きているのですが、友人は少し引いた目で、花のことも大人たちのことも見ていました。
彼女たちの同居生活は、ある事件をきっかけに、この友人の指摘で終わりを迎えてしまいます。
常に冷静に見ていた友人の賢さが引き立っています。

ある事件がきっかけで、4人の同居生活は終わりを迎えます。
楽しくはあるものの、常に危うさもあった同居生活。
ここでの生活は、後の花や黄美子さんの人生に、大きな影響を及ぼすことになりました。
同居生活って、その後の人生に大きな影響を与えるのでしょうね。
周りとの人間関係が自分を作る恐ろしさ
花はもちろん、彼女を取り囲む人たちは、常にお金に振り回される日々を送っています。
会社員や個人事業主として生計を立てているのではなく、危険なお金で生計を立てているのです。
生活費が底をつきそうな日もあれば、いきなり大金が入る日もあります。
そのせいか、常にお金に振り回されてしまうのです。
このような人同士の関係は、大金がある時はよいのですが、なくなると関係そのものを失ってしまいます。
物語の中に、そのような場面も登場します。
お金に振り回れている人たちに囲まれていると、自分までお金に振り回される生活を送ってしまいます。
「私は大丈夫。お金に振り回されない」と思っていても、なかなか難しいでしょう。
不安になってしまったり、無理なお金を手に入れて人間関係を保ったりしてしまいそうです。
周りとの人間関係が、自分の考えもつくり上げてしまうのです。

周りの人間関係が、自分を作り上げてしまいます。
花は同居生活を解消した後、いわゆる普通の生活を始めます。
これまで関わった人たちとの関係を断つのですが、決して恵まれているとは言えません。
これまでの人たちと関わっていたとしたら、もう少し幸せだったかもしれませんが、普通の生活とはほど遠い世界で生きていたのかもな、とも考えました。
果たしてどっちが幸せだったのでしょう。
それは誰にもわかりません。
1990年代から後の生活については、花と花の母親、黄美子さんは描かれているのですが、それ以外の人についてはくわしく書かれていません。
彼らのことも書いてほしかったのですが、「想像にお任せしますね」と川上未映子さんから言われている気持ちになりました。

花の友達は、どうなったのだろう。
【おまけ】映画化された「国宝」も明るい青春時代を送る主人公が登場します。









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