長月天音さん著書の「キッチン常夜灯」を読みました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
「キッチン常夜灯」は、シリーズになっており「3」まで販売されています。(2025年2月現在)
飲食業界で働く人たちの「お仕事小説」です。
ファミレスチェーン店と個人経営ビストロの対比が、とてもわかりやすくて面白い物語でした。
長月天音さんの小説は、他にも「ほどなくお別れです」シリーズなどがあります。

書き風イラストの表紙が、かわいいです。
まず、このシリーズの読む順番を説明していきますね。
「キッチン常夜灯シリーズ」の読む順番は?

「キッチン常夜灯シリーズ」は、これまで3冊発売されています。(2025年2月現在)
単行本はなく、角川文庫から発売されています。
発売順に読めば、筋を追って読めます。
発売順は次の通りです。
- 「キッチン常夜灯」(2023年9月発売)
- 「キッチン常夜灯 真夜中のクロックムッシュ」(2024年5月発売)
- 「キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン」(2024年11月発売)
1作目「キッチン常夜灯」の主人公が、2冊目・3冊目でも登場しますし、2冊目の主人公が3冊目でも登場します。
この順番で読むと、関係性が理解しやすいです。
3冊の主人公は、ファミレスチェーン店を展開する企業の女性社員です。

「キッチン常夜灯」は、ファミレスチェーンを展開する企業で働く女性社員たちが主人公です。
では、「キッチン常夜灯シリーズ」の感想・レビューを説明していきますね。
「キッチン常夜灯シリーズ」感想・レビュー

「キッチン常夜灯シリーズ」の感想・レビューは、
- ファミレスチェーン店と個人経営ビストロの対比がわかりやすい
- 「キッチン常夜灯」に行きたくなる
- 主人公たちが立ち直っていく力強さに共感できる
では、1つずつ説明していきますね。
ファミレスチェーン店と個人経営ビストロの対比がわかりやすい
「キッチン常夜灯シリーズ」の主人公たちは、ファミリーレストラン「シリウス」を運営する株式会社オオイヌの女性社員です。
彼女たちがこよなく愛するビストロ「キッチン常夜灯」で、心がこもったシェフの料理、ソムリエの女性店員、常連客に励まされたり、アドバイスを受けたりして、自分の仕事の価値を見出していく物語です。
彼女たちの務めるファミレスと、こじんまりしたビストロの対比がわかりやすくて、楽しめました。
ファミレス「シリウス」 | 「キッチン常夜灯」 | |
営業時間 | 朝から夜まで | 夜から朝まで |
客数 | 多い | 少ない |
料理 | コスパ・時短重視メニュー | こだわりメニュー |
店員 | 少数の正社員と多数のアルバイト・パート | 2人 |
店舗数 | 東京・神奈川のチェーン店 | 1店舗のみ |
シリウスの社内組織、人間関係がとても具体的に書かれており、著者の長月天音さんは飲食業界出身なのかと感じました。
ググって調べたら、確かに飲食業界での勤務ご経験があることが確認できました。
具体的に書かれている理由は、ここにありそうです。

飲食業界経験のある著者が、ファミレスとビストロをわかりやすく対比させています。
今後、ファミレスを利用する時に「これが出来上がるまでに、たくさんの人が関わっているのだなあ」などと考えることが増えそうです。
どこかの企業、個人店や個人事業主として働いた経験がある方、特に飲食業界勤務のご経験がある方は、「そうそう、あるある!」と共感できる箇所がたくさんあるのではないでしょうか。
「キッチン常夜灯」に行きたくなる
「キッチン常夜灯」は、従業員が2人だけの隠れ家のようなお店です。
心の込もったこだわりのメニューを黙々と作るシェフ、気さくで優しい女性ソムリエ、顔見知りになった常連客たち。
心安らぐこの場所で、朝まで過ごす人もいるほどです。
私もキッチン常夜灯の常連客となり、グチを聞いてもらったら元気が出そうな気がします。
あったらいいのになあと願ってしまうお店です。

隠れ家のような「キッチン常夜灯」に、行きたくなることは間違いありません。
ファミレスの仕事は、とても大変です。
シリウスの女性社員たちは、心身ともに疲弊した状態で、キッチン常夜灯の常連客となっていきます。
主人公たちが立ち直っていく力強さに共感できる
ファミレスの仕事は、とても大変です。
- 昼休みが夕方にずれ込む日があり、食事ができない
- 突発的な残業が多い
- シフトの都合で休みが取りにくい
- クレーム対応に心が折れる
- パート・アルバイトの管理が大変
など、心身ともに疲弊することが多い環境です。
シリウスの女性社員たちも疲れ切っています。
帰宅後の食事もままならない生活に、シェフこだわりの食事で心身ともに少しずつ元気になっていきます。
女性ソムリエや常連客のアドバイスで、主人公たちは立ち直っていきます。
彼女たちの力強さに共感できますし、尊敬できます。

「キッチン常夜灯」の料理・ソムリエや常連客のアドバイスで、主人公たちは立ち直ります。
シリウスの社員である主人公たちと、キッチン常夜灯のスタッフたちは、同じ飲食業界で働く同士でもあります。
仕事の話ですぐに打ち解け、意気投合してしまうのです。
これもリアリティーを感じます。
同じような仕事をしている者同士は、すぐに話が弾みますよね。
「キッチン常夜灯」は心身ともに疲れ切ってしまった女性社員たちが、小さなビストロで、体を整え、心も元気になっていく小説です。
毎日の仕事に追われて、疲れてしまった方のヒントになりそうなエピソードもたくさんあります。
「ああ、わかるわかる」と共感しつつ読み進められますよ。

心が込もった優しいお料理は、気持ちも体も元気になります!
【おまけ】古内一絵さん著書「マカン・マランシリーズ」も優しい料理で癒やされる小説です。
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ