夏川草介さん著書「エピクロスの処方箋」の感想・レビューをお伝えします。
2026年本屋大賞ノミネート作品(第4位)です。
過去に発売された「スピノザの診察室」も同じシリーズで、2024年本屋大賞ノミネート作品(第4位)です。
どちらも水鈴社から発売されています。
「スピノザの診察室」「エピクロスの処方箋」は、主人公の名前を取って「雄町哲郎シリーズ」とも呼ばれ、映画化が決定しています。

京都が舞台です。
夏川草介「雄町哲郎シリーズ」の読む順番は?

「雄町哲郎シリーズ」は、2冊発売されています。(2026年5月現在)
どちらか1冊だけ、または、どっちから読んでも理解できる内容ですが、時系列は次の通りです。
せっかく読むなら、この順番で2冊とも読んだ方がよいでしょう。
- スピノザの診察室(2024年10月発売)
- エピクロスの処方箋(2025年10月発売)
主人公の雄町哲郎(マチ先生)は、京都の総合病院の勤務医です。
阿闍梨餅・金平糖など、京都ゆかりのスイーツもたくさん登場します。
京都がお好きな方にも、おすすめの小説です。

京都の総合病院が舞台です。医療小説・京都観光がお好きな方におすすめです。
前作「スピノザの診察室」の感想・レビューは、別で説明しています。
では、「エピクロスの処方箋」の感想・レビューをお伝えしていきますね。
「エピクロスの処方箋」感想・レビュー

「エピクロスの処方箋」の感想・レビューは、
- 「医療では、人は救えないんだよ」がじんわり響く
- 穏やかな最期を支えるマチ医師の姿にじんわり
- 助かる命を全力で助ける姿が頼もしい
- 穏やかな最期と全力で助ける命の対比が心に残る
では、1つずつ説明していきますね。
「医療では、人は救えないんだよ」がじんわり響く
「エピクロスの処方箋」の表紙に「医療では、人は救えないんだよ」と医療小説とは思えない言葉が書かれています。
主人公マチ先生の信念のようです。
マチ先生は、大学病院で最先端の医療を経験した後、家庭事情で勤務先を規模の小さい総合病院に移します。
最先端の医療と、総合病院の心に寄り添った医療。
両者を経験した結果の信念かもしれません。
これは小説なので、当然マチ先生は実在しませんが、著者の夏川草介さんの信念なのかもしれません。
全体を通して、マチ先生の思いが伝わる1冊となっています。

マチ先生の静かで確かな信念が伝わる1冊です。
前半は、穏やかな最期を迎えるお年寄りたちが描かれます。
穏やかな最期を支えるマチ医師にじんわり
物語の前半は、病状がある程度進み、無理な治療をせずに穏やかな最期を迎えるお年寄りや家族たちが登場します。
最先端の治療をしない人たちです。
医師の仕事は、患者が治る治療をするだけではありません。
病状が進む人の苦痛を和らげ、できるだけ家族との時間を作っていくことも大切な仕事です。
このような治療は、大学病院では行わないのでしょう。
マチ先生は、訪問診療を重ねて、お年寄りや家族を支えています。
地味で評価されにくい仕事ですが、とっても大切な仕事です。穏やかなマチ先生の人柄が光ります。

穏やかな最期を迎える本人と家族の精神的な助けは、医師の大切な仕事です。
とは言え、助かる見込みがある人には、最先端の治療を行います。
助かる命を全力で助けるマチ先生が頼もしい
大きな病気をする人は、助かる見込みが低いお年寄りばかりではありません。
- まだまだ体力がある子供や若い人・中年世代
- 高齢者でも助かる見込みがある人
もいます。
マチ先生は、このような人に最先端の医療を行います。
物語の後半は、助かる見込みがあるお年寄りの治療の場面です。
勤務する総合病院ではなく、昔努めていた大学病院の教授からオファーが来ます。
事情があるとは言え、退職した医師にオファーをすることは、大学病院ではあまりないそうです。
それだけマチ先生を信頼しているからこそ、なのでしょう。

過去に勤務していた大学病院からオファーが来ます。
治る見込みがある人には、全力で治療に向き合うマチ先生の姿がありました。
穏やかな最期と全力で助ける命の対比が心に残る
「エピクロスの処方箋」は、前半で穏やかな最期を迎える準備をするお年寄りや家族のために、訪問診療に明け暮れるマチ先生、後半で古巣の大学病院で最先端治療を行うマチ先生が描かれます。
前半は、患者や家族との優しいやり取りや見守り、後半は、様々な想定を重ねて最先端の医療を行う颯爽としたマチ先生が書かれています。
この対比が心に残ります。
医療には、2通りあるように感じます。
- 患者や家族の苦痛や不安を和らげる役割
- 最先端治療を行う役割
これは、前作「スピノザの診察室」も同じで、穏やかマチ先生と華麗なマチ先生の両方が読める小説です。
ぜひ、2冊とも読むことをおすすめします。

医者の仕事を、深く理解できるシリーズです。
【夏川草介さん著書レビュー】








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