韓国の作家ソン・ウォンピョンさんの小説「三十の反撃」の感想・レビューをお伝えします。
ソン・ウォンピョンさんは、2020年本屋大賞翻訳部門第1位「アーモンド」を書いた方です。
「ア―モンド」巻末の広告で、この小説を知りました。
「三十の反撃」というタイトルから、スカッとする復讐劇を想像していたのですが、誰かをギャフンと言わせるような単純な反撃ではありませんでした。
それこそが、この小説の醍醐味かもしれません。

日本と韓国って社会構造が似ているなあ、と体感できました。
「三十の反撃」感想・レビュー

「三十の反撃」の感想・レビューは、
- 「こういうドラマ、見たことあるなあ」と思う
- 反撃の方法は、日本ではあまり見ない
- 日本と韓国は、社会構造が似ているのかも
では、1つずつ説明していきますね。
「こういうドラマ、見たことあるなあ」と思う
この小説全体を包む雰囲気は、日本のドラマによく似ています。
- 主人公の女性はアラサーで独身・会社勤務
- 地方出身・半地下アパートで一人暮らし
(韓国のアパートは地下・半地下・地上の順に家賃が上がるらしい) - 大学卒業時の就職活動がうまく行かず、インターンで雇用
(日本の契約社員みたいな有期雇用契約社員) - 会社をやめるほどではないが、不満がある
- 今のところは恋人なし・結婚の予定もなし
こんなドラマ、日本でもよくあります。
ものすごく不満はない。
自分よりもっと過酷な状況の人もいるはず。
でも現状に満足はしていないし、生きがいもない・・・みたいな。
日本人、特に社会人以上の年齢の女子は読みやすい小説です。

日本人(特に社会人以上の年齢の女子)に、読みやすい小説です。
主人公は、同僚やウクレレ教室の仲間たちと、ちょっとした反撃を繰り返します。
反撃の方法は、日本ではあまり見ない
漠然とした不満を抱える主人公と周辺の人たち。
こういう人が出てくるドラマは日本でもありそうなのに、主人公たちが理不尽な状況に立ち向かっていく姿は、日本と少し違うように感じました。
日本のドラマだったら、主人公が我慢した末に、最後に相手を見返すような展開になりそうです。
あっと驚くどんでん返しがあり、痛快さが際立つ結末を迎える、みたいな。
ところが「三十の反撃」は「相手を負かす」というよりも、自分の意思を示しながら一歩ずつ状況を変えていくように感じました。
ささやかな意思表示です。
「反撃」とは、誰かに勝つことではなく、自分の人生を自分の手に取り戻すことなのかもしれない、そんなことを考えさせられました。

反撃の方法が、日本とは少し違うように感じました。
とは言え、韓国の小説なのに主人公に身近さを感じるのはなぜなのでしょうか。
日本と韓国は、社会構造が似ているのかも
「三十の反撃」を読んで最も強く感じたことは、日本と韓国の社会は思っていた以上に似ている部分があるのでは、ということでした。
- 格差がある
- 一度失敗すると、挽回のチャンスが少ない
- 職場の息苦しさ
- 年齢によるプレッシャー
- 思うようにいかない人生の焦り
など、「これ、日本でもあるな」と思う場面が何度もありました。

日本と韓国の社会構造が似ている、と感じずにはいられませんでした。
国は違っても、働くことや人間関係の中で感じる生きづらさには、どこか共通するものがあります。
ましてや日本と韓国は近い国。
同じ儒教文化の国だから似ている、ともよく言われます。
韓国と日本は文化や歴史こそ違いますが、社会の中で抱える悩みには、思っていた以上に似ている部分がある。
だからこそ、この物語は遠い国の話ではなく、どこか自分たちの身近な物語として読むことができました。
そして読了後に感じたのは、爽快感というよりも、少しだけ前を向けるような感覚です。
天気で言うと「ずっと晴れているわけではない。でも厚い雲の向こうから少しずつ光が差し込んでくる。」ような感じです。
私も少しずつ差し込む光のような変化を感じて生きていきたい、そんな風に思いました。

主人公の生きづらさが、自分の問題として感じられます。
【おまけ】同じくソン・ウォンピョンさんの小説「アーモンド」も載せています。
同じく韓国の小説「ようこそ、ヒュナム洞書店へ」も載せています。








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