「おひとりさま日和」は、6人の著者からなる短編小説集です。
「おひとりさま」という言葉のブームがありましたね。
それから、すっかり定着した言葉のように思えます。
短編小説は、あまり読まないのですが、とても楽しく読めました。
この本の感想・レビューをお伝えします。
おひとりさまも悪くないな~と思わせる一冊!
「おひとりさま日和 ささやかな転機」も発売中!
「おひとりさま日和」の続編が発売されました。
前作と同じ著者の短編小説集で、同じ世界感が楽しめます。
前作の続きの小説もあれば、全く新しい小説もあります。
これだけ読んでも構いません。
では、1作目「おひとりさま日和」の感想・レビューをお伝えしますね。
「おひとりさま日和」感想・レビュー
「おひとりさま日和」の感想・レビューは、
- 短編小説なので読みやすい
- 「おひとりさま」でなくても理解できる
- 今の自分でも大丈夫かもしれない
- 日常は「小さな幸せとかなえられそうな目標」の連続
- 自分の行き先を見つけられるかもしれない一冊
では、1つずつ説明していきますね。
短編小説なので読みやすい
最初に説明しましたが、6人の著者が、1話ずつ物語を描いた短編小説集です。
長編小説となると、読むのがおっくうになってしまいます。
しかし、この本は短い話しかありません。
スラスラと読み進めることができます。
まとまった時間が取りにくい大人でも、読みやすい1冊です。
短い小説ばかりなので、少しずつ読み進めることができます。主婦や働く女性も安心です。
本を読む時間がないから読書はしない、が長い間続いて、すっかりご無沙汰・・・な女性のリハビリ本に最適です。
もちろん、男性のリハビリ本としても最適です。
「おひとりさま」でなくても理解できる
「おひとりさま」な方も、そうでない方も共感できる部分が、たくさんあります。
おひとりさまじゃないからピンと来ないかな、ということはありません。
今はそうでなくても、この先ずっとおひとりさまでないとは限りませんし・・・。
脅かすつもりではありません。
家族と一緒に生活していても、ひとりで行動することが、全くない人はいないでしょう。
生まれてから死ぬまで、たったひとりきりな人もいなければ、ひとりになったことが一度もない人もいないはず。
世間で言われるおひとりさまの状態でなくても、理解できる部分が、たくさんある本です。
「おひとりさま」でなくても、一人で行動する時が、全くない人はいません。買い物ぐらい、おひとりで行くことはありますよね。
どんな人でも、肩の力が少し抜けるような小説たちです。
今の自分でも大丈夫かもしれない
6人の著者の短編小説集ですが、共通点があります。
- ひとり暮らしの女性が主人公
- 年齢は40代以上(?)だけどバラバラ
- 既婚・未婚・死別はバラバラ
それぞれの環境や境遇が違います。
でも、ひとり暮らしの女性という点は共通しています。
主人公は、決して成功者ではない、ごく普通の女性たちばかり。
共感できる部分は多いはずです。
ごく普通の女性の、ごく普通の物語であり「今の自分でも大丈夫かな」と思わせる一冊です。
成功者のサクセスストーリーは、「私には、無理無理」と感じて、気後れしてしまいます。
そういう人は、全く登場しません。
身の回りにいそうな登場人物は、感情移入がしやすいです。
読み終わった後に、ほっとできます。
成功者の話には、共感を持ちにくいもの。この本の女性は、「私かな」と思う人ばかりが登場します。
共感できる小説は、いくつになっても安心感があります。
日常は「小さな幸せとかなえられそうな目標」の連続
小説の女性たちを読み続けて思ったことは、「日常生活とは、小さな幸せとかなえられそうな目標」の連続なのかな、ということ。
家族やご近所さん、ペット、恋人、昔の教え子の母親など・・・主人公と身の回りの人との微妙な変化の小説たちです。
歳を重ねると、それなりの自分軸を持っています。
でも、身の回りの人との関わりで、幸せや目標は、少しずつ変化をしていくものではないのかな、とも思えます。
自分でも気がつかないくらいの小さな変化をし続けることで、数年後には、少し違う幸福感や目標になっているかもしれないな、それはきっと、毎日の積み重ねなのかな、と感じました。
自分でも気がつかないくらいの速度で、幸福感や目標が変わっていく・・・それも人なのかな、と感じました。
自分が変化していくのは、悪いことではありません。
人の意見に流されまくるのは困りものですが、自分軸の少しの変化は、大歓迎です。
自分の行き先を見つけられるかもしれない一冊
- 今の自分でも大丈夫かもしれない
- 日常生活は、小さな幸せとかなえられそうな目標の連続
これが積み重なると、自分のこれからを見つけるきっかけになるかもしれません。
しっかりと今を見つめつつ、日常生活を送っていると、少し先の未来が見えてくるような気がします。
子供の頃とは違い「自分の時間を増やして◯◯を始めよう」や「家族との時間を増やすために◯◯の時間を少なくしよう」とか、もっと具体的になっているかもしれません。
もしかしたら、子供の頃のように、「10年後に◯◯になる」かもしれません。
将来の考え方も、これまでの歩みで変わってきます。
一言で「将来」と言いますが、毎日の積み重ねが将来につながります。
毎日をそれなりにちゃんと生きていれば、数年先の未来も、きっと大丈夫。
大丈夫が続くと、遠い先の未来も大丈夫になります。
毎日の積み重ねが将来につながります。毎日が大丈夫なら、将来もきっと大丈夫です。
大人になると、毎日をこなすだけで精一杯になりがちですね。
でも、少し先の将来を見つめながら、生活していくこともよいかもしれません。
そんなことを思いながら、気がついたら、全部読み終わっていました。
安心感があり、肩の力が抜けて共感できる部分が、たくさんある小説です。
【おまけ】いとうあさこさんのエッセイ「あぁ、だから一人はいやなんだ。」についても載せています。にぎやかおひとりさまエッセイです。
文字のみなので、画面が白黒の端末で読むのがおすすめ