高瀬隼子さん著書の「いい子のあくび」を読みました。この本の感想・レビューをお伝えします。
表題作「いい子のあくび」の他、「お供え」「末永い幸せ」という小説も入った短編集です。
表紙の優しい色使いとは違って、心の毒をわかりやすく書いた物語です。
どんな人におすすめかも併せてお伝えします。
高瀬隼子さんは、「おいしいごはんが食べられますように」で芥川賞を受賞した作家さんです。

心の内側を描いた、ちょっと怖い小説です。
「いい子のあくび」感想・レビュー

「いい子のあくび」の感想・レビューは、
- 「いい子のあくび」をおすすめする人はこんな人!
- 人によっては、あわないかも・・・
- 「いい子」と「いい子ではない」の使い分けはうまくいくか?
では、1つずつ説明していきますね。
「いい子のあくび」をおすすめする人はこんな人!
「いい子のあくび」は、混雑した駅ですれ違う時に、目の前に来た人(男性)を「よけない!」と決めている女性が主人公です。おすすめする人は、これに「わかる」と共感できる人です。

眼の前に来た男性をよけない女性が主人公です。
男性は「眼の前に人が来るのに、なぜよけないの?」と思うのでしょうか・・・?
女性でも、同じことを思う方はいらっしゃるでしょう。
よけりゃいいじゃんって。
私もそう思いますが・・・。
でも「よけない」気持ちもわかります・・・。
男性よりも女性の方が、共感できる人が多そうです。
人によっては、あわないかも・・・
人混みでぶつかりなのに、よけない直子を「わかる!」と共感する人にはおすすめしますが、「よければいいのに」と直子に共感できない人にはおすすめしません。
小さい頃から「いい子」を演じることが身についてしまった主人公の直子。
演じているとは言い過ぎかもしれませんが、いい子な部分もあれば、そうではない部分も持ち合わせている人です。
相手の望む通りに、自分の発言を変えることもあります。
相手によって、自分の発言や行動を変えてしまう・・・誰にでもあることですが、直子はいい子に見えるように優等生を演じてしまうので、苦手意識を持つ方もいるかもしれません。
人によっては、あわない小説でもあります。

「よければいいのに」と思う方には、おすすめしません。
共感できるかできないか、が「面白い」か「面白くない」かを分ける小説です。
「いい子」と「いい子ではない」の使い分けはうまくいくか?
「いい子のあくび」主人公の直子は、いい子の自分といい子でない自分の使い分けをしています。
恋人や友人にまで使い分けをしています。
ところが、ある出来事がきっかけで、そのバランスを崩してしまいます。
やはりいい子を演じるのは難しいのか・・・と感じました。
このバランスの崩し方に、とってもリアリティーがあります。
小さい頃から、周囲の期待を同級生よりも素早く、かつ敏感に感じ取り、褒められることで世渡りをしている直子。
褒められることが多かった少女時代。
それを大人になっても続けてしまっている。
でも、いつも100%いい子ではないのです。
それはそうだろうな。
きっと周囲の期待や気持ちに敏感だからこそ身についてしまったのですね。
私は、ここまで敏感でなかったから身につかなかったのかな・・・?

でも、すれ違う時に目の前に来た人を「よけない!」と決める気持ちは理解できます。
たまにですが、人混みで、みんながよけるから自分はよけない人を見かけます。
「あなたがよけるのは当然」みたいな雰囲気で目の前に来られてもね、と感じます。
それが何度もあると、決していい気分にはなりません。
「ぶつかりおじさん」などと世間で言われるのだから、一定の人数は存在しているのでしょう。
私も「今のおじさん、わざとぶつかったよね?!」と思って振り返ると、女性ばかりに体当たりしているおじさんに遭遇したことがあります。
でも、いい子を演じることはないかなあ・・・。
疲れそうだから。
これは私の感想で、どう思うかは読んだ人次第です。
「この気持ちわかる!」「いや、私にはわからない」と、人によって感想が分かれる小説です。
誰にでもある心の毒、みたいなものを細やかな言葉で表現している、そんな物語です。
他の短編「お供え」は、都合のよい時だけ神頼みをする人たち、「末永い幸せ」は、主人公が結婚式について思うことが描かれています。
どちらも人の身勝手やモヤモヤを見事に書いていて「わかる!」と思わせてくれます。
しかし、これも人によって「わかる」「わからない」が分かれる物語です。

わかる!と共感する人は、どんどん読み進めてしまう魔力がある小説です。
【おまけ】同じく高瀬隼子さん著書「おいしいごはんが食べられますように」も載せています。








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