「I」は、道尾秀介さん著書の本です。
2つの短編小説集ですが、どちらから読んでもよいですよ、とおすすめする小説です。
読む順番で結末が変わります。
本当に変わります。
道尾秀介さんの本は、他にも「N」があります。
「N」は6つの短編で、同じくどこから読んでよいですよとおすすめしています。
6つもあると混乱しやすいのですが、「I」は、2つだけですっきり!
混乱しません。

どっちから読むかは、あなた次第です。
まずは「I」が、どんな小説かを説明していきますね。
道尾秀介「I」はどんな小説?

著者の道尾秀介さんは、ミステリー作家として知られています。
「I」は、全2話の短編小説集で、ミステリー小説と言ってよいでしょう。
1話ごとに文字が逆さまになっており、(第1話と反対向きに第2話がある)読む順番は自由です。
私は紙の本で読みましたが、電子書籍では読みづらいかもしれません。
ミステリー小説で読む順番がどっちでもよいとは、ずいぶん思い切った本です。
しかもつながりがある2つの物語です。
どっちから読んでも、1つの結末になるように作られています。
伏線回収はありません。

全2話の短編小説集で、どっちから読んでも1つの結末になります。
では、「I」のあらすじをネタバレなしで説明していきますね。
道尾秀介「I」のあらすじ

扱われるテーマは非常に重く、
- DV
- 無戸籍
- いじめ
- 自殺
など、社会の「見えない場所」で起きている痛みが物語の背景にあります。
どれも経験しない人は、その傷みや苦悩を全く知らずに一生を終えることができます。
逆に、当事者には人生を変えてしまうくらいの悲痛な傷みや大変な苦悩を伴います。
前から順番に読んでも、後半を先に読んでも、きちんと1つの物語になるように作られている1冊。
読者は「自分が選んだ順番」によってまったく違う読後感を得ます。
どちらから読むかはあなた次第。
できれば、異なる順番で2回読むのがおすすめです。

2つの物語を読み終えると、1つの物語が完成します。
では、「I」を読了した私の感想をお伝えしていきますね。
道尾秀介「I」感想・レビュー

「I」の感想・レビューは、
- 重いテーマだが、すっきりと読了できる
- 時系列が逆になるかもしれない
- 再読もおすすめ
では、1つずつ説明していきますね。
重いテーマだが、すっきりと読了できる
「I」は、物語が2つしかありません。
選んだ順番によって、
- 登場人物の行動の意味
- 感情の流れ
- 物語の重さの位置
が変わります。
1つの出来事を他の登場人物の視点で描いている場面があり、多角的に眺めることができます。
同じく道尾秀介さんの「N」は、6つの物語を扱っていますが、「I」は2つなので、頭が混乱せずにスッキリと読めます。
私は「I」の方が読みやすかったです。

どちらから読んでも、すっきりと理解できて、混乱しません。
2つの物語に共通する人物がいます。
共通する人物がいる、ということは時系列があります。
時系列が逆になるかもしれない
2つしかない物語ですが、共通の登場人物がいるので、きちんと時系列があります。
そのため、読む順番によっては時系列が逆になるかもしれません。
1冊の本の中で、先に読んだ章が過去になったり、未来になったりします。
その結果、自分が選んだ順番によって、時間軸をどう受け取ったのかが変わります。
重いテーマを扱いながら、物語が増えない分、感情の線は1本のまま保たれます。
そのため読了後に残るのは混乱ではなく、自分が選んだ時間の流れが整った感覚になるでしょう。

2つの物語のつながりが強く、時系列がしっかりと組み込まれています。
時系列順に読んだなら、そのまま理解を進めることになるし、逆に読んだなら、過去を回想しているように読み進めることになるでしょう。
やはり、読む順番で感じることが変わってきそうですよね。
1回目は時系列が逆になってしまったら、逆の順番で再読もおすすめです。
再読もおすすめ
1回目の順番と逆に再読もおすすめです。
全く違う結末を迎えるので、読後感も全く違ってきます。

1回目と逆に読んで、全く違う読後感を味わうのがおすすめ
ところで、タイトルの「I」に意味はあるでしょうか?
「I」というタイトルの意味は?

「I」というタイトルには意味があるのでしょうか?
英語で「I」は「私」を意味します。
描かれるのは、無戸籍・暴力・孤立といった「社会から名前を奪われる」状況に置かれた人々です。
名前がないということは、「自分が誰なのかを証明できない」ということ。
そのため 「I」とは、「私とは何か」を指しているように感じました。
そして、「I」は二つの物語だけで構成されているため、読者は複雑な枝分かれではなく、1本の線として 誰かの人生を追う感覚を持ちます。
この1本の線は、「私は誰か?」という問いに収束していくのです。
タイトルの 「I」 は、この収束点を示す記号でもあるような気がします。

1冊の本なのに、読後感が違う感覚を味わってください。
【おまけ】道尾秀介さんの「N」も載せています。








紙の本で読むのがおすすめ